Robert Bosch(ボッシュ)は2024年2月28日(現地時間)、Microsoft(マイクロソフト)と生成AIの活用で提携したと発表した。自動運転技術の向上で生成AIを活用し、現状ではシステムでの判断が難しい場面での事故回避につなげる。
提携は産業向けのカンファレンス「ボッシュコネクテッドワールド」で発表した。両社は、自動車とクラウドをシームレスに接続するためのユニバーサルソフトウェアプラットフォームの開発でも提携している。また、ボッシュではさまざまな用途で生成AIの活用が始まっており、マイクロソフト以外にもAWSやGoogle、スタートアップのAleph Alphaなど複数のパートナーと協力する。
マイクロソフトとの協業では自動運転技術の性能向上に生成AIを使う。ボッシュが持つ自動車に対する包括的な理解や自動車特有のAIの知識、生成AIに提供する車両のセンサーデータへのアクセスなどを生成AIの活用に生かす。
今後、生成AIは事故につながる可能性を判断する上で役立つとしている。物体認識においてプラスチックの袋と破損した自動車部品を識別するなど、膨大なデータを利用して生成AIが自動運転システムに学習させ、よりよい結論を導き出せるようにする。この結論を基に、必要に応じてドライバー向けに警告を表示し、ハザードランプを点灯しながらブレーキをかけるなど、適切な運転操作を実行する。
生成AIが電話にも対応
Aleph Alphaとの協業では生成AIを活用した自動車向けに音声認識機能を開発した。自然言語処理により、方言やアクセントの違い、雰囲気なども認識する。音声認識機能によって電話の対応ができるため、ロードサービスなどとの通話を理解し、ドライバーの待ち時間を最小限に抑えるという。40%の問い合わせを自動的に処理し、解決するという。ドライバーからの複雑な内容の問い合わせは、チャットbotが関連情報をサービスセンターに送信してエージェントが対応する。
この他にも、社員向けのAI支援検索エンジンや、AIが生成した画像を利用した光学検査向けAIソリューションの開発や拡張などさまざまなアプリケーション開発にボッシュ社内で取り組んでいる。社員向けのAI支援検索エンジンでは、イントラネット上のさまざまなデータソースや、外部から入手可能なデータなどに自然言語検索によって迅速にアクセスできるという。光学検査向けAIソリューションでは、生成された画像で検査用AIの開発や拡張、最適化を行い、開発から実装までにかかる期間を大幅に短縮できる見込みだという。
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