脳神経領域の高度な研究ニーズに応えるMRI装置を発売:医療機器ニュース
シーメンスヘルスケアは、脳神経領域の研究用MRI装置「MAGNETOM Cima.X」を発売した。新開発の傾斜磁場コイル「Gemini Gradients」により、最大傾斜磁気強度が従来機の2.5倍に向上している。
シーメンスヘルスケアは2024年2月7日、脳神経領域の研究用MRI装置「MAGNETOM Cima.X(マグネトム シーマエックス)」を発売した。
脳の神経線維などを観察するためには、コントラストの高い拡散強調画像を得る必要があり、拡散の強調度を示すb値を上げなければならない。しかし、b値を上げるとMR信号を取得するまでのエコー時間(TE)が長くなり、それに伴ってノイズが増加するという課題がある。
この課題を解決するため、新たに開発した傾斜磁場コイル「Gemini Gradients」をMAGNETOM Cima.Xに搭載した。これにより、最大傾斜磁気強度が200mT/mと、従来機「MAGNETOM Prisma」の2.5倍を達成。非常に高いb値でもTEが短縮され、信号対ノイズ比を大きく改善する。
拡散強調画像の比較。左:「MAGNETOM Cima.X」(b値:10000、TE:87ミリ秒)、右:従来機「MAGNETOM Prisma」(b値:10000、TE:114ミリ秒)[クリックで拡大] 出所:シーメンスヘルスケア
また、傾斜磁場コイルの冷却効率を高めるため、冷却方式「HydroCore Cooling」を新たに開発した。従来はコイルを冷却水の中に浸す構造だったが、新方式では傾斜磁場コイルの中空導体内に冷却水を通す。これにより、高b値を用いた拡散強調画像の撮像時間を、同社従来製品と比べて最大75%短縮できるようになった。
さらに、画像再構成アプリケーション「Open Recon」を新たに開発した。研究用にカスタマイズした画像再構成アルゴリズムを装置の画像再構成ユニットにインストールしておけば、データを変換したり装置間で再度取り込んだりすることなく、装置上でリアルタイムに画像を再構成できる。
他にも、同社の独自技術として、AI(人工知能)を用いた画像再構成アプリケーション「Deep Resolve」や、ハードウェアテクノロジー「BioMatrix Technology」を搭載。高速化と高画質化を両立しつつ、安定した画像を得られる。
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