検索
ニュース

IIJの法人モバイル契約数が200万回線突破、フルMVNO化が成長の原動力に製造業IoT

インターネットイニシアティブ(IIJ)は、IoT向け回線を中心とする法人モバイルの契約数が200万回線を突破したと発表した。2023年末時点の契約回線数は224万9000で、2022年末時点と比べて約33%の伸長となっている。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2024年2月13日、東京都内で会見を開き、IoT(モノのインターネット)向け回線を中心とする法人モバイルの契約回線数が200万を突破したと発表した。2023年末時点の契約回線数は224万9000で、2022年末時点と比べて約33%の伸長となっている。同社は加入者管理機能を自ら運用しSIMの発行や認証を自由に行えるフルMVNO(仮想移動体通信事業者)となっているが、2022年からは回線数にもその効果が大きく表れ始めており、2024年度末(2025年3月末)までに300万回線の達成も視野に入る状況となっている。

IIJの契約回線数の推移
IIJの契約回線数の推移。緑色で示す法人モバイルの契約回線数が2023年末時点で200万を突破した[クリックで拡大] 出所:IIJ

 IIJは2008年1月にMVNOとして法人向けモバイル通信サービス市場に参入した後、2018年3月にフルMVNOとなっている。現在の法人モバイルのサービスは、NTTドコモ回線を使用するタイプD、KDDI回線を使用するタイプK、そしてNTTドコモ回線のフルMVNOであるタイプIの3種類がある。そして、足元の法人モバイル契約回線数の成長をけん引しているのが主にIoT向けとなるフルMVNOのタイプIだ。

 IIJ MVNO事業部 ビジネス開発部 副部長の早坂忍氏は「フルMVNOになったことで、チップSIMを含めたSIM製造の機能や、SIMを組み込んだ製品の通信サービス開始時期などを柔軟に設定できるなどのメリットもある加入者管理機能によって製造業を中心とする顧客の要望に対応できるようになり、グローバル対応を含めてネットワークの選択肢も大きく広がった」と語る。実際に、2022年度第2四半期(7〜9月)以降、法人モバイルの契約回線数は四半期ごとに15万〜20万増加しており、この勢いで行けば2024年度末までに300万回線を達成できる見込みだ。

フルMVNO化によるメリット
フルMVNO化によるメリット[クリックで拡大] 出所:IIJ

 新技術への対応についても、1枚のSIMカードでローカル5Gとキャリア通信を切り替えて利用するための実証実験に取り組んでいる他、ソフトウェアベースのSIM(ソフトSIM)であるiSIM/iUICCなどの研究開発も進めている。2024年2月26〜29日にスペインのバルセロナで開催される「MWC Barcelona 2024」では、見守りGPSを手掛けるBsizeや半導体メーカーのNordic Semiconducotrのブースで、IIJのソフトSIMの成果を用いた共同展示を行う予定である。

 会見では、法人モバイルの採用事例として、スターライト工業が展開している熱中症予防IoTサービス「eメット IoTモデル」で用いている実機のヘルメットを披露した。同サービスでは、装着者の額に当たる部分に組み込んだ温度センサーの値から「カラダ暑さ指標」を導き出して、装着者が持つスマートフォンとBluetoothで連携してクラウドサーバにデータを集約することで、現場作業者の熱中症リスクを見守ることができる。ヘルメットの後部には、センサーのデータの収集機能とともにバッテリーとBluetooth通信モジュールを組み込んだユニットがあるが、カラダ暑さ指標が危険なレベルに達した場合には同ユニットからブザー音が鳴って現場作業者本人や周囲の作業者に知らせる機能も備えている。

スターライト工業の「eメット IoTモデル」スターライト工業の「eメット IoTモデル」 IIJの法人モバイル採用事例となるスターライト工業の「eメット IoTモデル」(左)。装着者の額に当たる部分に温度センサーが組み込まれている(右)[クリックで拡大]

⇒その他の「製造業IoT」の記事はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る