米国のEVシフト減速に対するスバル日産ホンダの声:自動車業界の1週間を振り返る(1/3 ページ)
1月下旬から先週にかけて、2024年3月期第3四半期の決算発表ラッシュでした。自動車メーカーやサプライヤーの中には過去最高の業績を達成した会社が多く、好調さが伺えます。
3連休の月曜日でした。カレンダー通りにお休みだという方も、月曜日は月曜日で仕事だという方も、1週間頑張っていきましょう。
1月下旬から先週にかけて、2024年3月期第3四半期(2023年4〜12月)の決算発表ラッシュでした。自動車メーカーやサプライヤーの中には過去最高の業績を達成した会社が多く、好調さが伺えます。先週発表された乗用車メーカーの中から、SUBARU(スバル)、ホンダ、日産自動車の決算を振り返ります。
スバル
スバルの2023年4〜12月の決算は、売上収益(売上高)が前年同期比24.5%増の3兆4963億円、営業利益が同73.6%増の3709億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益(当期純利益)は同93.5%増の2988億円で増収増益でした。生産台数は同12.7%増の75.7万台、連結販売台数は同15.8%増の73.6万台です。
海外市場向けの出荷で物流の制約の影響を受けたものの、輸送の切り替えなどの工夫により、前年同期から販売台数を増やすことができたとしています。米国向けの小売り販売は2022年8月以降、17カ月連続で前年超えを記録するなど好調です。カナダ向けも、2022年11月以降14カ月連続で前年超えとなっています。米国向けの販売台数増加や販売価格の改定、収益性の高いモデルや地域の販売比率が上がったことなどが増収に貢献しました。
売上高の増加により、諸経費や原価などの減益要因がありながらも増益を確保しています。工賃レート上昇や台数変動などによる保証修理費の増加、販管費の拡大などが諸経費の減益要因です。原価に関しては、貴金属などの市況下落がプラス要因でしたが、サプライヤーの負担軽減を含む原材料価格の上昇が上回りました。
2024年3月期通期(2023年度)の業績見通しは前年度比23.2%増の4兆6500億円、営業利益は同68.2%増の4500億円、当期純利益は同69.6%増の3400億円を計画しています。前回発表した見通しから上方修正し、営業利益は300億円増、当期純利益は200億円増に見直しました。
生産台数は前回発表した見通しから1万台減の100万台、連結販売台数も前回の見通しから3万台減の98万台に見直しました。北米以外の地域での足元の販売や在庫の状況と、カナダ向け商品の輸出遅延などを踏まえた下方修正ですが、それでも生産台数は前年度と比べて14.4%増、連結販売台数は同15.0%増という水準です。カレンダーイヤーでは2023年の米国販売が63.2万台でしたが、2024年は68万台を目標としており、景況感への注視は必要としつつも増加基調は緩やかながらも今後も続く見込みです。
販売台数の減少や諸経費などの増加は市場構成の改善によって打ち消すことで、前回予想からの上方修正と、前年度比での増収増益を見込みます。
米国でのEV現地生産は方針変更せず
スバルの主力市場である米国でEVの需要が当初の期待ほど伸びていない状況ですが、スバルでは踊り場が来ることを想定しており、米国での現地生産や投資などEV関連の計画に大きな変更や遅れはないとしています。まずは日本で複数の新型EVの生産を立ち上げ、それを米国にも展開するという考え方は維持します。アライアンスの活用を含めて生産体制をどう整えていくか、生産規模や生産開始時期をどうするか……といった米国での生産の在り方は開発の状況を見ながら最終的に決めていくとのことです。
また、スバルは2024年4月1日付の組織改正で自動車事業の5つのCXO(Chief X Officer)を新設すると発表しました。スバルの社内ではクルマが高度化するのに合わせて組織の細分化が進んでおり、これに伴い新しいことに取り組みにくくなっているのが背景にあります。CXOの下で組織の壁を壊しながら次世代のクルマづくりに全社で取り組むとしています。
- スバルが新設するCXO
- CMzO(最高モノづくり責任者、Chief Monozukuri Officer):開発手番や部品点数、生産工程の半減や、モノづくり革新をけん引
- CBBO(最高バッテリービジネス責任者、Chief Battery Business Officer):電池の安定調達や競争力、事業性の確保など電池事業全体の推進
- CDCO(最高デジタルカー責任者、Chief Digital Car Officer):クルマのデジタル化を通じた価値づくりのけん引
- CCBO(最高コネクトビジネス責任者、Chief Connected Business Officer):クルマの外の領域での価値づくりをけん引
- CCIO(最高コスト改革責任者、Chief Cost Innovation Officer):競争力のある原価を実現するための全社統括
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