JDIがスマートリングによるセルフケアサービス発表、独自開発のOPDセンサー搭載:ウェアラブルニュース(2/2 ページ)
ジャパンディスプレイ(JDI)は、フレキシブル基板上に形成したOPD(有機光検出器)センサーを搭載するスマートリングを用いた企業/団体向けの健康見守りサービス「Virgo(ヴァーゴ)」を発表した。
200人参加の社内実証実験では1カ月で20%が行動変容
JDIは、Virgoとしての事業化に向けてスマートリングを用いたセルフケアについての社内実証実験も行っている。2023年秋から約200人が参加して、Virgoによるライフログの可視化とそれに合わせた保健師によるアドバイスを行ったところ、利用開始から1カ月後には参加者の20%の行動変容につなげられたという。
2024年2月からは、岡山大学、あいおいニッセイ同和損害保険、ヴェルト、両備ハッピーライフ両備健康づくりセンターとの間で、運送・交通運輸業に従事するドライバーの運転寿命延伸と健康増進を目的に運転挙動と健康状態の相関性を検証する共同研究を開始する。共同研究の対象となるのは、両備ハッピーライフ両備健康づくりセンターが健康管理を担う両備グループの60歳以上のドライバー120人である。
30人が3カ月間、JDIのVirgoとあいおいニッセイ同和損害保険が貸与するスマートウォッチを装着してバイタルデータなどを取得する。ドライバーの運転車両には、あいおいニッセイ同和損害保険の通信機能付きデバイスを搭載し走行データも取得する。ヴェルトは、スマートフォンのライフログや外部環境などのデータから体調管理のヒントを見つけられるアプリ「you’d(ユード)」と各種データから因果関係を探索/推論するAI(人工知能)プラットフォーム「xCausal(クロス・コーザル)」を提供。岡山大学が中心になってこれらのさまざまなデータを分析することで、どのような健康状態や生活習慣が運転挙動に影響を与えるかを検証する。30人×3カ月間を4回繰り返して、2025年3月までに120人分のデータ分析を行う計画である。
岡山大学 学術研究院・環境生命自然科学学域教授 DX推進担当副理事の野上保之氏は「バイタルデータを基に分析を行うのであれば、普段生活している状態を見られるようにすべきだ。Virgoのようなスマートリングは継続的にデータを取得できることには大きな価値がある」と強調する。また、あいおいニッセイ同和損害保険 デジタルビジネスデザイン部 部長の小泉泰洋氏は「運輸業界では保険支払額が増加しており、これは将来的に保険料が高くなってしまうことにつながる。痛ましい事故が減らしていくためにも、Virgoを用いた1年間の実証実験を基に実用化につなげていきたい」と述べている。
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