JDIがVR-HMD用に1000ppi以上のLCDパネルを量産、市販の“VR Glass”が採用:ウェアラブルニュース
ジャパンディスプレイ(JDI)は、VR-HMD(仮想現実ヘッドマウントディスプレイ専用となる2.1型で1058ppiのLTPS TFT-LCDの量産と顧客向けの納入を開始したと発表した。搭載製品は“VR Glass”として既に市販されており、今後の事業拡大に向けて提案を強化する方針である。
ジャパンディスプレイ(JDI)は2020年2月17日、VR-HMD(仮想現実ヘッドマウントディスプレイ)専用となる2.1型で1058ppi(1インチあたりの画素数)のLTPS TFT-LCD(低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレイ)の量産と顧客向けの納入を開始したと発表した。搭載製品は“VR Glass”として既に市販されており、今後の事業拡大に向けて提案を強化する方針である。
量産を開始した2.1型LTPS TFT-LCDは、解像度が1600×RGB×1600で、精細度が1058ppi、応答速度が4.5ms、リフレッシュレートが最大120Hz。バックライト方式はグローバルブリンキングで、輝度は定格で430cd/m2となっている。
先行ユーザーとなった顧客企業との共同開発により、VR-HMDの小型化、薄型化を実現するための工夫を取り入れたことが最大の特徴となる。小型化では、VR-HMDのFOV(視野角)に影響しないLCDパネルの四隅をカットし、HMD部をより小さくすることに貢献した。また薄型化では、既存のVR-HMDと比べて約半分の厚みを実現するために、顧客企業と共同で光学設計を行っている。「薄型化のために特殊なレンズが採用されているが、このレンズは透過率が低い。そこで低い透過率に対応するためにLCDパネルの輝度を430cd/m2にした。一般的なVR-HMDの4倍以上に当たる」(JDIの説明員)という。
LCDパネルのリフレッシュレートは最大120Hzだが、搭載製品は90Hzで使用している。「VR映像の違和感をなくすには240Hzのリフレッシュレートが必要といわれているが、現時点ではLCDパネルだけでなくグラフィックス処理も含めて実現は難しい。今後の開発課題として対応を進めたい」(同説明員)。
なお、JDIは2018年5月に、3.25型で1001ppiのVR-HMD専用LTPS TFT-LCDの開発を発表しており、今回の量産品はこの技術がベースになっている。ただし「1000ppi以上のLCDパネルは、試作であればどのLCDパネルメーカーでも可能だろう。今回は量産レベルで1000ppi以上を実現している点が大きく異なる。複数枚用いるフォトマスクの合わせ精度を高めるなど、さまざまな工夫が必要だった」(同説明員)としている。
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