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印刷方式有機ELディスプレイのJOLEDが民事再生、技術はJDIが承継へ製造マネジメントニュース

印刷方式有機ELディスプレイを手掛けるJOLEDが民事再生手続開始の申し立てを行ったと発表。併せて、ジャパンディスプレイ(JDI)との間で、JOLEDの技術開発ビジネス事業の再生支援に関する「基本合意書」を締結したという。

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 印刷方式有機ELディスプレイを手掛けるJOLEDは2023年3月27日、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ったと発表した。この申し立ては同日受理され、同裁判所より弁済禁止などの保全処分および監督命令が発令された。併せて、ジャパンディスプレイ(以下、JDI)との間で、JOLEDの技術開発ビジネス事業の再生支援に関する「基本合意書」を締結したことも明らかにした。

 JOLEDは、ソニーとパナソニックの有機ELディスプレイの開発部門を統合して2015年1月に事業を開始。その後、2019年11月に能美事業所(石川県能美市)において、世界初となる印刷方式有機ELディスプレイの量産ラインを稼働し、2021年3月には「OLEDIO」のブランド名で印刷方式有機ELディスプレイパネルの量産出荷を開始し、2022年5月にはJOLEDブランドの家庭用インテリアモニター「glancy」を発売していた。

「OLEDIO」ブランドの印刷方式有機ELディスプレイパネルを用いたモニターのイメージ
「OLEDIO」ブランドの印刷方式有機ELディスプレイパネルを用いたモニターのイメージ[クリックで拡大] 出所:JOLED

 しかし、印刷方式有機ELディスプレイの安定した生産に想定以上のコストと時間を要した他、世界的な半導体不足による影響に加え、高性能/高品質ディスプレイ需要の伸び悩みや価格競争の激化により当社を取り巻く状況は厳しさを増しており、収益が伸び悩むとともに、資金流出が続いていた。このような状況を踏まえて、複数回にわたる資金調達を実施し、収益の改善に向けた取り組みを行うと同時に事業支援のスポンサー探索を継続していたが、法的手続によらずにスポンサー支援を得ること、さらには法的手続によった場合にも、能美事業所と千葉事業所(千葉県茂原市)での製造を前提とする製品ビジネス事業を継続することが困難な状況になり、このまま自力で事業継続した場合、能美事業所や千葉事業所の撤退費用を捻出することも難しくなった。このため、「裁判所の関与の下で当社の事業の再生を図ることが最も適切であると判断し、やむを得ず、民事再生手続開始の申し立てを行うに至った」(ニュースリリースより抜粋)という。

 JOLEDの業績は、2019年度が売上高18億5700万円、営業損失284億700万円、当期純損失372億5300万円、2020年度が売上高59億800万円、営業損失310億6500万円、当期純損失877億8500万円、2021年度が売上高56億800万円、営業損失211億1800万円、当期純損失239億2600万円。売上高が伸び悩む中で大幅な赤字が続いていた。

 JDIと締結した基本合意書では、印刷方式有機ELディスプレイの製造技術を顧客企業などにライセンス提供する技術開発ビジネス事業へのスポンサー支援を受ける。JDIは、中期経営計画「METAGROWTH 2026」を推進する中で、JOLEDの技術開発ビジネス事業における優秀な人材および有機ELディスプレイに関する知的財産権やノウハウなどの承継が、顧客価値と株主価値創造に資するものと判断した。

 一方、OLEDIOやglancyといった印刷方式有機ELディスプレイの製造と販売を手掛ける製品ビジネス事業は撤退を決めた。「維持/継続に多大なコストを要する一方、早期かつ抜本的な収益改善の道筋がたっておらず、これ以上継続することは困難」(ニュースリリースより抜粋)だという。

 技術開発ビジネス事業をJDIに承継して製品ビジネス事業から撤退し、民事再生手続を進めることで、企業としてのJOLEDは終息することになるとみられる。

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