マイコン向けエッジAI開発ツールのソフトウェアライブラリを無償提供:人工知能ニュース
STMicroelectronics(STマイクロ)は、マイコン向けエッジAI開発ツール「NanoEdge AI Studio」で開発したソフトウェアライブラリを無償提供する。全ての「STM32」マイコンで無制限に利用できる。
STMicroelectronics(STマイクロ)は2023年12月6日(現地時間)、マイコン向けエッジAI(人工知能)開発ツール「NanoEdge AI Studio」で開発したソフトウェアライブラリを無償提供することを発表した。全ての「STM32」マイコンで無制限に利用でき、エッジAIソリューションの普及を促進する。
同社は、NanoEdge AI Studioをアップグレード。最新版の4.3は、生成したアルゴリズムが製品レベルの品質を備えていることを確かめられるようになった。同ツールは、あらかじめ選択したターゲットデバイスについて、ML(機械学習)モデルの実行時間を98%の精度で評価できる。
同社はSTM32マイコン以外に、1000種類以上のArm Cortex-Mマイコンもサポートし、他の組み込み機器でもNanoEdge AI Studioを利用できるように開放した。これにより140以上のSTM32開発ボードだけでなく、1000種類以上の他社製Arm Cortex-Mマイコンもプロジェクト開発に使える。
NanoEdge AI Studioは、異常検出や類似度の認識、分類、先進的な回帰アルゴリズムによる予測を実行しやすく、MLアルゴリズムの開発簡略化および開発期間短縮に貢献する。機器上で直接学習できる超小型MLライブラリは、複雑な環境における予知保全を可能にする。
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