AIツールと統合開発環境の統合で、エッジ向けAI開発の効率が向上:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、リアルタイム解析ソフトウェア「Reality AI Tools」と統合開発環境「e2 studio」を統合した。組み込みやAIの情報をシームレスに共有できるほか、データ転送やプロジェクト連携も可能になった。
ルネサス エレクトロニクスは2023年9月21日、リアルタイム解析ソフトウェア「Reality AI Tools」と統合開発環境「e2 studio」を統合したと発表した。
Reality AI Toolsは、センサーの生データからAI(人工知能)モデルを生成してマイコンに実装する。e2 studioと統合したことで、データやプロジェクト、AIコードをシームレスに共有できるようになった。
また、ルネサスのマイコン用ソフトウェアパッケージに含まれるリアルタイムデータ処理用ソフトウェアにより、センサーデータをより収集しやすくなった。IoT(モノのインターネット)ネットワークのエッジやエンドポイントにおける、センサーを活用した異常検知や予知保全など、AIおよびTinyMLアプリケーションの開発期間が短縮できる。
Reality AI社の買収後、ルネサスはAIモデル開発の簡素化に向けた研究に注力してきた。その成果として、ユーザーはReality AI Toolsを使うことで、センサーデータの分析とAIモデル生成の自動化が可能になった。
さらに、Reality AI Toolsとe2 studioの間に構築したシームレスな開発環境により、データ転送やプロジェクトの連携が可能になった。マイコン評価キットで収集したセンサーデータを、e2 studioで可視化してラベリングし、Reality AI Toolsのプロジェクトにワンクリックで転送したり、Reality AI Toolsで生成されたAI、ML(機械学習)モデルをe2 studioからダウンロードしたりできる。両者間でのプロジェクトの同期や転送、関連付けも可能だ。
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