ルネサスが次世代「DRP-AI」のデモを披露、試作チップのAI処理性能は80TOPSに:人工知能ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、同社のAIアクセラレータ「DRP-AI」のエンジニア向けイベント「Renesas AI Tech Day」において、2022年12月に発表した次世代DRP-AIを搭載する試作チップのデモンストレーションを報道陣に公開した。
ルネサス エレクトロニクスは2023年4月20日、東京都内で開催した同社のAI(人工知能)アクセラレータ「DRP-AI」のエンジニア向けイベント「Renesas AI Tech Day」において、2022年12月に発表した次世代DRP-AIを搭載する試作チップのデモンストレーションを報道陣に公開した。2023年内の製品化に向けて鋭意開発を進めているという。
この次世代DRP-AIはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同開発したもので、現行のDRP-AIと比べて最大10倍の電力効率となる1W当たり10TOPS(毎秒10兆回)のAI処理性能を実現した。次世代DRP-AIを搭載する試作チップのAI処理性能は80TOPSに達する。
今回披露したデモンストレーションでは、一般的な物体検出アルゴリズムである「YOLOv2」の処理について、次世代DRP-AIを搭載する試作チップと、NVIDIAのエッジAIボード「Jetson Nano」の動作を比較した。推論実行時間は試作チップの約5msに対してJetson Nanoが約200ms、フレームレートは同50fpsに対して4fpsと、試作チップのAI処理性能が圧倒的に上回っている。また、試作チップはAI処理においてCPUにかかる負荷も小さく、Jetson NanoのCPU処理時間が約200msなのに対し、試作チップは約20msで済んでいる。
そしてルネサスが最も強調しているのが、高いAI処理性能を実現しながら放熱対策が不要な点だ。放熱板を装着したJetson Nanoの温度が約70℃まで上がっているのに対し、何もつけていない試作チップの温度はAI処理を継続している間も約50℃を維持していた。「組み込み機器にエッジAIを実装することを考えると、放熱対策が不要という特徴が生きてくるだろう。1W当たり10TOPSということで、消費電力も圧倒的に低いことと併せて訴求していきたい」(ルネサスの説明員)という。
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