マイコンに組み込み可能な深層学習技術、オンデバイスでの追加学習も可能:人工知能ニュース
エイシングは、マイコンにも組み込み可能な軽量性をもつディープラーニング(深層学習)技術「AiirDNN」を開発した。
エイシングは2023年4月25日、マイコンにも組み込み可能な軽量性をもつディープラーニング(深層学習)技術「AiirDNN」を開発したと発表した。同社はこれまで軽量性とオンデバイス学習機能をもつAI(人工知能)技術として「AiiRシリーズ」を展開しており、AiirDNNは機械制御向けAI「MST」、異常検知向けAI「MSAT++」に続く第3弾となる。
AiirDNNは2通りの使い方がある。1つは、外部のAIプラットフォームで学習させて構築した既存のAIモデルデータをPC上で「AiirDNN Converter」を使ってAiirDNNのモデルデータに変換する方法だ。このAIモデルデータは、推論実行の際に使用するメモリ容量がより小さくなるとともに、マイコンなどでのオンデバイス学習が可能になる。量子化などの方法で圧縮をしないので推論精度が低下することもない。
もう1つは、学習データをそのままAiirDNNで学習させる方法である。この場合はマイコン上で新規のディープラーニングを行える。また、軽量かつオンデバイスで追加学習が可能なAIモデルデータを構築できる点では1つ目との方法と変わりはない。
一般的なディープラーニングは高性能のPCやGPUが必要になる。今回のAiirDNNによって、マイコンにディープラーニングを組み込めるようになることで、より小さく、より低コストで、よりシンプルにディープラーニングを利用でき、あらゆるデバイスにAIを搭載できる可能性が広がるという。
なお、AiirDNNの正式なリリースは「第7回 AI・人工知能EXPO 【春】」(2023年5月10〜12日、東京ビッグサイト)内の「小さく始めるAIパビリオン」への出展と併せて行われる予定だ。
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