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3Dプリンタ活用によるサステナブルなモノづくり事例サステナブル設計とデジタルモノづくり(6)(2/3 ページ)

地球環境に配慮したモノづくりの実践はあらゆる企業に課せられた重要なテーマの1つだ。本連載では、サステナブル設計の実現に欠かせないデジタルモノづくりにフォーカスし、活用の方向性や必要な考え方などについて伝授する。連載第6回では、3Dプリンタ活用によるサステナブルなモノづくり事例について紹介する。

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スワニー

 スワニーは、3D Systemsのペレット押し出し式大型3Dプリンタ「EXT 1070 Titan Pellet」を国内初導入し、デモセンター「TITAN ファクトリー」を開所しています。大型部品製造における生産性を実証すると同時に、持続可能なモノづくりの実現に向けて、3D Systemsと共同で一般量産ペレットや再生材のプリントパラメーターの開発などに取り組んでいます。

 導入したEXT 1070 Titan Pelletは、1000×1000×1000mmの大型造形が可能で、射出成形用ペレットを造形材料として使用できます。3Dプリンタ用ヘッドに加え、CNC切削スピンドルツールヘッドが搭載されており、プリント中やプリント後の造形物に対して切削加工を行うことで、高い表面品質と寸法精度を実現できます。

「EXT 1070 Titan Pellet」の造形サンプル
「EXT 1070 Titan Pellet」の造形サンプル[クリックで拡大] 出所:スワニー

MagnaRecta

 MagnaRectaは、2023年のクリスマスシーズンにあわせて、表参道ヒルズのクリスマスツリーを3Dプリントしています。高さ10mのツリーは約500個の雪の結晶で作られており、ほとんどがPET素材を原料としていました。リサイクル可能な原料のみで製作されており、廃棄物の出ないサステナブルなツリーになっていました。原料のPET素材はポリエステルの1種で、ペットボトルなどに使用されています。

MagnaRectaが製作したクリスマスツリー
MagnaRectaが製作したクリスマスツリー 出所:表参道ヒルズ

積彩

 積彩は、3Dプリントを中心とした独自の製造システムを用いて空間演出と素材の可能性を追求するプロジェクト「空間印刷所」に取り組んでいます。3Dプリンティングならではの有機的なデザインの什器(じゅうき)を設計、製造しています。大型3Dプリンタの活用により、従来の製造方式では困難だった造形物のデザインや製作が可能になっています。生分解性、耐候性など多様な樹脂をそろえており、材料や顔料(色)のブレンドによるオリジナル素材の生成にも対応しています。製作時に出た試作品や端材、役目を終えた造作物を回収、粉砕して再利用することで、循環型モノづくりの実現を目指しています。

積彩と光伸プランニングによる共同プロジェクト「空間印刷所」をスタート
積彩と光伸プランニングによる共同プロジェクト「空間印刷所」をスタート[クリックで拡大] 出所:積彩

アダル

 アダルは広葉樹の廃材を原料に、3Dプリンタで家具の製作を行っています。家具製作の過程で生じる月10t(トン)以上にも上る広葉樹の廃材を自社で粉砕し、ポリプロピレン樹脂と混ぜ合わせ、樹種別の木粉ペレット材を製造しています。製造する木粉ペレット材は、ペレット式大型3Dプリンタに対応し、広葉樹の色合いや香りなどの質感に加え、高い強度と耐久性を備えた造形が可能です。

NTTデータ ザムテクノロジーズ

 NTTデータ ザムテクノロジーズでは、東洋アルミニウム、日軽エムシーアルミと共同で、金属3Dプリンタを使用した際に発生する金属くずを再生利用する新たな手法を確立したと発表しています。レーザー照射がされていない粉末材料から規格サイズ内のものは、3Dプリンタでの部品製造で再利用されますが、規格外のオーバーサイズ粉末と造形後に除去されたサポート材は廃棄していました。これら従来廃棄されていた金属くずを再溶解することで、ほぼ100%再利用できるそうです。

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