90年代の人気家具を広葉樹の廃材から作った木粉ペレットと大型3Dプリンタで復刻:サステナブル設計
井上企画は、家具の材料に用いられる広葉樹の廃材を活用した木粉ペレット材を独自開発。業務用家具メーカーのアダルと共同で、人気家具の復刻モデルを大型3Dプリンタで製造するプロジェクトを手掛けた。
井上企画は2023年4月27日、家具の材料に用いられる広葉樹の廃材を活用し、新しい材料を独自開発する素材開発事業に着手したことを発表した。
同社が本社工場を構える福岡県大川市では、広葉樹を用いた家具づくりが行われている。同社は、自社で販売、加工している家具材であるウォールナットやホワイトオークなどの広葉樹の廃材に着目し、3Dプリンタに適した素材開発を開始した。具体的には、月10トン以上にも上る広葉樹の廃材を自社で粉砕し、ポリプロピレン(PP)樹脂と混ぜ合わせ、樹種別の木粉ペレット材を製造している。
同社が製造する木粉ペレット材は、ペレット式大型3Dプリンタに対応し、広葉樹の色合いや香りなどの質感に加え、高い強度と耐久性を備えた造形が可能だとする。
同社は、業務用家具メーカーのアダルと共同で、1990年代初頭に製造されたアダルを象徴するラウンジソファ「LINK LOUNGE」を復刻する「LINK LOUNGE 2.0プロジェクト」に取り組み、大型3Dプリンタ×木工技術の可能性と、木粉ペレット材を用いた新たなモノづくりの方向性を示した。
ラウンジソファの従来モデル(LINK LOUNGE)は、大型の成形合板が用いられ、巨大な金型や高周波プレスといった設備による大量生産を前提としたものだったが、今回のプロジェクトで製作した復刻モデルは、3Dプリンタを用いることで、金型レスで1脚からでも製造可能なため、サステナブルな次世代のモノづくりに貢献できるとする。
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