金属3Dプリンタ使用時に発生する金属くずを再生利用する手法を確立:金属3Dプリンタ
NTTデータ ザムテクノロジーズは、東洋アルミニウム、日軽エムシーアルミと共同で、金属3Dプリンタ使用時に発生する金属くずを再生利用する手法を確立した。金属くずの再溶解で、ほぼ100%再利用できる。
NTTデータ ザムテクノロジーズは2023年10月4日、東洋アルミニウム、日軽エムシーアルミと共同で、金属3Dプリンタを使用した際に発生する金属くずを再生利用する新たな手法を確立したと発表した。
NTTデータ ザムテクノロジーズが金属積層造形の製造と品質保証、東洋アルミニウムがアトマイズ法での3Dプリンタ用合金粉末の製造、日軽エムシーアルミが3Dプリンタ用粉末の母合金のインゴット製造を担当した。
開発した手法の工程は、まず、金属積層造形用の金属粉末材料を製造するための母合金のインゴットを製造し、アトマイズ法でインゴットから金属積層造形用の金属粉末材料を製造する。製造された金属粉末材料から規格外のオーバーサイズ粉末は、母合金のインゴット製造に戻し、3Dプリンタで残りの金属粉末材料を使用して部品を製造する。
レーザー照射がされていない粉末材料から規格サイズ内のものは、3Dプリンタでの部品製造で再利用され、規格外のオーバーサイズ粉末と造形後に除去されたサポート材は母合金のインゴット製造に戻す。
この最後の工程で従来は金属くずとして廃棄していた規格外のオーバーサイズ粉末と造形後に除去されたサポート材を母合金のインゴット製造に戻し、再溶解することで使用原料のほぼ100%再利用できる。
サーキュラーエコノミーの達成により、CO2排出量の削減に加え、廃棄コストも削減できる。今後、製造コストや環境問題に課題意識のある業界に向け、国内市場の拡大を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 工作機械の部品を金属3Dプリンタで内製、リードタイム減と工程集約が可能に
DMG森精機はAMに関する展示会「フォームネクストフォーラム 東京」において、金属3Dプリンタを活用して製作したドローバーなど実製品を展示した。 - 日本AM協会が第2回総会開催、金属3Dプリンタによる金型活用事例などを紹介
日本AM協会は、第2回総会を開催し、AM(Additive Manufacturing:付加製造、積層造形)に関する動向や事例の共有などを行った。 - 日本ミシュランのAM共創拠点が地元企業と金属3Dプリンタ活用、新規事業を拡大へ
日本ミシュランタイヤは太田サイト内に開設した金属3Dプリンタによる積層造形技術の共創拠点「ミシュランAMアトリエ」を報道陣に公開した。 - 仏研究機関も迎えて磨く金属積層造形技術、ミシュランの群馬共創拠点が活発化
群馬積層造形プラットフォームは技術報告会を開催し、新規メンバーの群馬県立産業技術センターとフランスの国立産業技術センター「CETIM」との連携推進や、今後の技術開発テーマと方向性を示す「探索マップ」について発表した。 - 金属3Dプリンタの導入割合や最も多い用途とは、調査で浮かび上がる金属AM動向
MONOist編集部は「金属3Dプリンタ動向調査」を実施した。調査期間は2023年3月9〜22日で、有効回答数は355件だった。本稿ではその内容を抜粋して紹介する。 - AM実製品活用に企業はどのように取り組むべきか
本連載では、日本国内で何が金属3DプリンタによるAM実製品活用の妨げとなっており、どうすれば普及を進められるかを考察する。今回は、AMの実製品活用に投資するための企業の考え方、進め方について考える。