日鉄エンジがシャフト炉向けバイオコークスを開発、従来品を100%代替可能:工場ニュース
日鉄エンジニアリングは、提供する廃棄物処理設備「シャフト炉式ガス化溶融炉」向けの「バイオマスコークス」の製造技術を独自開発し、シャフト炉の実機に適用できることを確認したと発表した。
日鉄エンジニアリングは2023年12月19日、提供する廃棄物処理設備「シャフト炉式ガス化溶融炉(以下、シャフト炉)」向けの「バイオマスコークス」の製造技術を独自開発し、シャフト炉の実機に適用できることを確認したと発表した。
シャフト炉は、多様な廃棄物を高温溶融により、安定して確実に処理する廃棄物処理設備だ。同社のシャフト炉は、これまで全国48箇所(うち建設中4箇所)で採用され、その特徴である処理対象物の広さや優れた資源化性能から、最終処分量の極小化や災害復興時の廃棄物処理などで貢献している。
バイオマスコークスは、植物などのバイオマス材を原料に採用したモノで、使用する植物は成長過程で大気中のCO2を吸収していることから、燃焼させても排出量の全体収支では実質的にCO2を増加させないカーボンニュートラルな資材だ。なお、コークスとは石炭を蒸し焼きにして炭素部分だけを残した燃料を指す。
製造プロセスの最適化や安定供給スキーム構築などの取り組みを加速
同社は、バイオマスコークスの調達ソース拡大と安定した供給確保のために、シャフト炉向けのバイオマスコークスを独自に開発し、東部知多衛生組合の協力のもと東部知多クリーンセンターで実施した実機試験にて、従来のコークスを100%代替可能だと確かめた。
今後は、これまで取り組んできた一般流通品の検証と並行して、独自開発したバイオマスコークスの実装投入に向けて、製造プロセスの最適化や安定供給スキーム構築などの取り組みを加速していく。
さらに、廃棄物処理をはじめとする環境/エネルギープラントのエンジニアリング、建設、操業の豊富な実績とノウハウを生かし、今後とも再生可能エネルギー関連施設の建設や各種プラント操業におけるエネルギー効率の改善などを通じて、カーボンニュートラルの実現や災害に強いレジリエントな社会インフラの整備に貢献する。
また、これまでも、シャフト炉の還元剤として利用する石炭コークスから発生するCO2を抑制してカーボンニュートラル化を推進するために、操業技術の最適化や低炭素型シャフト炉の開発などでコークス使用量の極小化に取り組んできた。併せて、オガ炭など一般に流通するバイオマスコークスで代替性の検証も行っていた。
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