UBEとトヨタが共同開発したナイロン6樹脂が新型クラウンの燃料電池車で採用:材料技術
UBEは、トヨタ自動車と共同開発した、燃料電池車用の高圧水素タンクライナー向けポリアミド(ナイロン)6樹脂「UBE NYLON 1218IU」が、トヨタ自動車が発売した新型クラウンの燃料電池車に採用されたと発表した。
UBEは2023年12月18日、トヨタ自動車と共同開発した、燃料電池車用の高圧水素タンクライナー向けポリアミド(ナイロン)6樹脂「UBE NYLON 1218IU(以下、1218IU)」が、トヨタ自動車が発売した新型クラウンの燃料電池車に採用されたと発表した。UBEのナイロン6樹脂がトヨタ自動車の燃料電池車に採用されるのは「MIRAI」に続いて2車種目となる。
1218IUは、クラウンの燃料電池車に搭載される高圧水素タンクの最内層の構成部材(インナーライナー)として使用され、水素が外部に漏れだすことを防止する樹脂ライナーの材料としての厳しい要件をクリアした。ナイロン6樹脂として優れた水素透過防止性能を有するとともに、水素ガスの充填や放出によるタンク温度の急激な変化に対する耐久性や低温環境における耐衝撃性などについても極めて優れた機械的性質を示している。
UBEは、1959年からナイロン6樹脂の製造販売を開始し、グローバルでの重合生産能力は19.8万トン(t)と世界有数の規模を持つ。近年では、より高度化する市場のニーズに対し、エンプラコンポジットメーカーとしてグローバル展開を拡大しており、日本、アジア、欧州、北米の4極体制で計5.3万tのコンポジット生産能力を持ち、製品開発力と安定した品質に基づくソリューション提供型ビジネスが高く評価されている。今後も、エンプラコンポジットの能力増強を図るとともに、多様化する自動車部材の要求特性にマッチした製品の開発に注力していく考えだ。
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