ハンドから変えるロボットティーチング、成長スピード求めるOnRobotの一手:2023国際ロボット展(2/2 ページ)
OnRobotは「2023国際ロボット展」において、ロボットの自動化プラットフォーム「D:PLOY」によるさまざまなロボットアプリケーションのデモを披露した。本稿ではiREX2023での出展とともに、OnRobot CEOのエンリコ・クログ・アイベルセン氏へのインタビュー内容を紹介する。
50%成長を遂げるOnRobot、ソリューション展開がカギ
ここからはiREX2023会場で行ったアイベルセン氏へのインタビューの内容をお伝えする。
MONOist OnRobotの現状についてどう捉えていますか。
アイベルセン氏 主要市場においては夏までは前年比50%以上の成長を続けており順調だと考えている。成長のポイントは2つある。1つは、ロボットハンドとして幅広いレンジの製品を出しているということだ。そしてもう1つが、D:PLOYを含むソリューションとしての展開だ。他社製品なども組み合わせながら、ユーザー企業に直接的な価値を提供できる。これらの両面が成長の原動力となっている。
MONOist D:PLOYで行っている「ロボットティーチングを簡単に」というような動きは、ロボットメーカーも取り組んでいるところだと思いますが、そこでぶつかることはないのでしょうか。
アイベルセン氏 それは全くの杞憂で多くのロボットメーカーがD:PLOYに協力してくれている。今では日本やそれ以外の主要なロボットメーカーからほぼ全て賛同を得ており、対応機種についても増やしてもらっているところだ。
ロボットメーカーはロボットプログラムを簡単に設定できるということにフォーカスしているが、われわれはロボットハンドメーカーとしてユーザーの直接的な課題にアプローチできるためトータルソリューションとしてのシンプル化を目指している。立ち位置が異なるためにそれぞれに協力することで相互に価値が高められると考えている。
MONOist 今後の製品強化の方向性についてはどう考えていますか。
アイベルセン氏 先ほど話したように、ロボットハンドとしての製品ラインアップの強化とソリューション展開の強化の両面を進めていく。製品ラインアップの強化の面では2024年により可搬重量の大きな製品を提供する計画だ。具体的には可搬重量30kgに対応する製品を2024年に投入したいと考えている。ソリューションの面では、D:PLOYの対応ロボットやセンサーなどを拡大するとともに対応アプリケーション拡大に取り組んでいく。さらに、2025年をめどにビジョンシステムへの対応を進める。
日本の課題は「スピード感」、新しいものを採用するのが遅い
MONOist 日本市場での現在の手応えをどう感じていますか
アイベルセン氏 まずまずだと考えている。現状でも日本市場においても前年比40〜50%成長を続けている。これを中長期にわたって続けていけるようにしたい。ただ、ポテンシャルは非常に大きいものの、スピード感に課題があると感じている。もっと早い成長に期待していたが、スピードはやや遅く、新しいものを実際に導入するまでの時間が非常に長いように見える。これを加速させたい。今後さらに製造現場や物流現場でも採用されるロボットの数が増え、人手作業で行っていた軽量型の作業がロボットに置き換わっていく。この流れに合わせて、さらに成長のスピードを速めていきたい。
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