宮城に半導体製造装置向けプラズマ電源の修理拠点、従来比3倍規模でサポート拡充:FAニュース
トルンプは宮城県仙台市に「宮城テクニカルセンター・仙台オフィス」を開設した。
トルンプは2023年12月6日、宮城県仙台市に設立した「宮城テクニカルセンター・仙台オフィス」の開所式を開催した。
トルンプでは板金加工機などを手掛けるマシン事業だけでなく、プラズマ電源などのエレクトロニクス事業も展開している。宮城テクニカルセンターでは半導体製造装置向けプラズマ電源や産業用加熱向けジェネレーターの修理、点検を行う。神奈川県川崎市にあったエレクトロニクス事業部のサービスセンターを移管しており、キューブと呼ばれる部品交換などの修理、点検エリアは従来は3つだったが、宮城テクニカルセンターでは11に拡充するなど規模は3倍に拡大している。投資金額は数億円という。
各キューブには150kVAまで供給できる給電設備と、毎分100l(リットル)まで供給できる給水設備が左右に1つずつあり、大型の電源が搬入されても左右の近い方から供給できるようになっている。給電、給水の能力も従来より大幅に拡充している。現状、10人程のスタッフが働くが、将来的には30人程まで増やす。
トルンプ ヒュティンガ 代表のブジ・ラファル氏は「トルンプの日本事業は既に日本法人を設立して45年、エレクトロニクス事業としても25年たつが、半導体製造装置向け事業は約10年程だ。日本は半導体技術をリードしており、日本の半導体製造装置向けの伸びは他の国と比べても非常に高い。今後は半導体産業のより近くで、サポートをしていきたい」と語る。
トルンプ日本法人 代表取締役社長の高梨真二郎氏は「半導体製造装置向け事業が順調に拡大し、単なるユーザーとのコンタクトから製品を納入し、アフターサービスまで行う必要が出てきた。ユーザーへのサポートに対して量、質、スピードを兼ねるためには、近くに拠点を置かなければならない。川崎からサポートしていたのでは、朝に何かトラブルが発生しても先方への到着が夕方になってしまう。ここであれば1時間もあれば到着する」と話す。
来賓としてあいさつした東京エレクトロン宮城 シニアフェロー 兼 宮城技術革新センター センター長の永関一也氏は「2017年にトルンプ側に“こんなことをやりたい”という話をした。トルンプが持つEC電源の高い技術を応用して、われわれの装置を組み込みたいということでプロジェクトがスタートした。現在までに約900の電源を納品していただいた」とトルンプとの関係について述べた。
半導体製造装置市場は調整局面にあるが、2024年以降に持ち直し、2027年には過去最高だった2022年の3割増しになるとの予測を永関氏は紹介。東京エレクトロン宮城では、2021年にパートナー企業との共創空間として利用できるラボエリアなどを設けた宮城技術革新センターが完成。2025年には新開発棟が完成予定だ。
「事業の拡大にはキャパシティーを広げることも重要だが、物量が多くなるとさまざまな問題も生じる。それらをスピーディーに解決するためにも、コミュニケーションの量と質、スピードが大事になる。宮城テクニカルセンターが互いにとって有益なものになると確信している」(永関氏)。
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