光学レンズを使わずに光の配光角を制御できるオプティクスフリー深紫外LED：組み込み開発ニュース

情報通信研究機構は、ナノ光構造技術により光の配光角を制御するオプティクスフリー深紫外LEDの開発に成功した。光学レンズを用いずに光放射をビーム形状に収束し、光出力を約1.5倍に増加する効果もある。

[MONOist]

　情報通信研究機構は2023年11月1日、ナノ光構造技術により光の配光角を制御する、オプティクスフリー深紫外LEDの開発に成功したと発表した。

深紫外LEDの模式図［クリックで拡大］ 出所：情報通信研究機構

　開発した深紫外LEDは、光学レンズを使用せずに光の配光角を制御して高い指向性を実証した。窒化アルミニウム光出射面に形成したナノオーダーの位相型フレネルゾーンプレート構造と窒化アルミニウムガリウムのマイクロLED構造の組み合わせにより、光放射をビーム形状に収束できる。また、同構造は深紫外LEDの光取り出し効率を改善し、光出力を約1.5倍に増加する効果もある。

作製したAlN位相型フレネルゾーンプレート構造［クリックで拡大］ 出所：情報通信研究機構

作製した深紫外LEDの配光特性の測定結果［クリックで拡大］ 出所：情報通信研究機構

作製した深紫外LEDの注入電流密度に対する光出力出所：情報通信研究機構

　深紫外LEDは、空気中のエアロゾル化したウイルスの無効化や、太陽光による背景ノイズの影響を受けない光無線通信の光源として期待できる。今回の成果は、高価なレンズや光学部品を使わずに、必要な箇所だけに効率よく高強度な深紫外光を照射することを可能にした。深紫外光の広がりを抑えることで人体に照射するリスクを低減し、深紫外LEDの安全性、効率性、生産性を高める技術として期待できる。

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