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新型コロナ対策で注目のUV-C、エアロシールドが説く「室上部水平照射」の有効性医療機器ニュース(1/2 ページ)

富士通ゼネラルは2021年3月末から同社のグループ企業となったエアロシールドが展開する紫外線照射装置の技術について説明。波長280nm以下のUV-C(深紫外線)を部屋の上部で水平方向に照射する室上部水平照射式により、新型コロナウイルス感染症の感染経路として注目されているエアロゾル感染への有効な対策が可能になるという。

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 富士通ゼネラルは2021年7月15日、川崎本社(川崎市高津区)において、同年3月末から同社のグループ企業となったエアロシールドが展開する紫外線照射装置「AERO SHIELD(エアロシールド)」の技術について説明した。波長280nm以下のUV-C(深紫外線)を部屋の上部で水平方向に照射できる独自のルーバー(仕切り板)構造を用いた室上部水平照射式により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染経路として注目されているエアロゾル感染への有効な対策が可能になるという。

富士通ゼネラルの長谷川忠氏(左)とエアロシールドの木原寿彦氏(右)
富士通ゼネラルの長谷川忠氏(左)とエアロシールドの木原寿彦氏(右)。手に持っているのが紫外線照射装置「AERO SHIELD」だ(クリックで拡大)

 富士通ゼネラルは現在、サステナブル経営を重点テーマとする中で、同社の主力である空調事業とも関わりの深い「快適、清潔・安全な空間の提供」を進める中で、2006年から紫外線照射装置を展開してきたエアロシールドを傘下に収めた。富士通ゼネラル 取締役 執行役専務の長谷川忠氏は「世界的に空気の質が重視されており、エアロシールドの技術は清潔で安全な室内環境を実現する上で大きな効果を発揮する。当社の国内外の販路を使って積極的に展開するとともに、空調機器と組み合わせた事業展開も検討したい」と語る。

細菌やウイルスを不活化できるUV-C

 変異株などの影響もあって感染拡大が収まらないCOVID-19だが、有効な対策として期待されているのが波長280nm以下の紫外線であるUV-Cの活用である。遺伝子を破壊する力を持ち細菌やウイルスを不活化できるUV-Cは、人体にとっても有害な光である。ただし、太陽光に含まれるUV-Cはオゾン層によって遮断されているため地上には届いていない。つまり、UV-Cを照射するには、人工的に作り出した光源が必要になる。

波長280nm以下のUV-Cはオゾン層によって地上には届かない
波長280nm以下のUV-Cはオゾン層によって地上には届かない(クリックで拡大) 出典:富士通ゼネラル

 エアロシールドは2006年の創業時から、このUV-Cを光源とする紫外線照射装置を用いた空気環境対策に取り組み続けてきた企業だ。同社の紫外線照射装置は、室内で起こる自然対流による空気循環と、室内上部でのUV-Cの水平照射を組み合わせる「室上部水平照射式」によって、室内の空気清浄を効率よく行えることが特徴となっている。UV-Cを用いた細菌やウイルスへの対策では、この室上部水平照射式の他にも「対物照射式」や「吸気・排気式」「インダクト式」などがあるが、対物照射式は有人空間では使えない、吸気・排気式は効果が局所的、インダクト式は設備の大規模改修が必要といった課題がある。

紫外線照射の種類
紫外線照射の種類(クリックで拡大) 出典:富士通ゼネラル

 同社 代表取締役の木原寿彦氏は「室上部水平照射式は。UV-Cの広い照射範囲と自然対流を利用した空気循環により、空間全体に作用できるのが強み。当社の製品は、独自のルーバー構造により人体に当たると有害なUV-Cを水平照射することで安全性も確保している」と語る。具体的には、天井の高さが2.5mの一般的な部屋であれば、紫外線照射装置を2.1mの高さに設置した場合、UV-Cランプ出力が9Wの「UKP09」は8〜20m2、同18Wの「UKP18」は20〜40m2の広さに対応できるという、

エアロシールドが採用する室上部水平照射式と空気清浄機などに用いられる吸気・排気式の違い
エアロシールドが採用する室上部水平照射式と空気清浄機などに用いられる吸気・排気式の違い(クリックで拡大) 出典:富士通ゼネラル

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