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モルフォ蝶の原理を応用し、新たな光拡散シートを作製:研究開発の最前線
大阪大学は、モルフォ蝶の光学原理を応用し、明るく広角で、色が偏らず、防汚能力も備える光拡散シートを作製した。設計を変更することで、拡散光の形状異方性も制御できる。
大阪大学は2023年9月5日、モルフォ蝶の光学原理を応用し、明るく広角で、色が偏らず、防汚能力も備える光拡散シートを作製したと発表した。省エネ型の採光窓や照明、ディスプレイに活用される光拡散シートへの応用が期待できる。
南米原産のモルフォ蝶の羽は、明るく広角で、色が偏らない反射特性を持ち、かつ撥水(はっすい)性もある。この特徴は、モルフォ蝶の羽が狭い幅からの回折で光を広角に広げ、乱雑さで色の偏りを防ぐナノ構造になっていることに由来する。
今回の研究では、この特異な反射特性を透過に応用し、ナノ構造からの回折による光拡散シートの作製に成功した。回折は表面のみで発生するため、透過率も高い。表面のnmサイズの凹凸は、ハスの葉の撥水性(ロータス効果)と同様の効果を持つため、防汚機能も有する。
電磁場シミュレーションを用いて構造を設計し、半導体技術により同シートを作製したところ、角度広がりは垂直方向から±40度、透過率は90%以下、色分散はなく、防汚機能を備えることが実証できた。設計を変更することで、拡散光の形状異方性も制御できる。
従来の光拡散材は、細かい散乱体を組み込んで光を拡散するか、表面の微小な凹凸構造による屈折で光を曲げていた。しかし、散乱体は明るさと角度の広がりが両立せず、屈折では角度の広がり不足や汚れやすいなどの欠点があった。
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