大口径かつ度数調整可能な眼鏡用レンズ、大阪大学が開発:ウェアラブルニュース
大阪大学大学院工学研究科 尾粼研究室は「イノベーション・ジャパン2019 〜大学見本市&ビジネスマッチング〜」(2019年8月29〜30日、東京ビッグサイト)で、広い度数可変域を実現した大口径フレネル液晶レンズ技術を紹介。また、同技術を用いて開発した度数可変眼鏡を展示した。
目を酷使する現代社会。視力低下の状況に応じて、眼鏡やコンタクトレンズなど視力矯正器具の度数も調整する必要がある。近視の進行によるレンズ交換や、老眼や遠視などで遠近両用眼鏡に変更したといった経験を持つ眼鏡ユーザーも多いのではないだろうか。こういった眼鏡のわずらわしさ解消に向け、複数の企業や大学で度数可変レンズの研究が進められている。
大阪大学大学院工学研究科 尾崎研究室は「イノベーション・ジャパン2019 〜大学見本市&ビジネスマッチング〜」(2019年8月29〜30日、東京ビッグサイト)で、広い度数可変域を実現した大口径フレネル液晶レンズ技術を紹介。また、同技術を用いて開発した度数可変眼鏡を展示した。
液晶レンズは電圧印加によって焦点距離(度数)を変化させることができるレンズだ。一方で、従来の液晶レンズは液晶層厚さに制約があるためレンズ口径が直径2mm程度と狭く、眼鏡への応用にはレンズの大口径化が必要となっていた。
同研究グループは、レンズ断面を鋸歯(きょし)状とすることで薄いレンズにできるフレネルレンズに着目。液晶レンズに加える電位分布波形を制御し、液晶層内に鋸歯状のリタデーション(光学的位相遅れ)を生じさせることで、大口径かつ焦点距離を無段階で調節できるレンズを実現した。
現在、直径24mmのフレネル液晶レンズを開発しており、今後は同50mm程度まで大口径化を進める。可変度数範囲は±6.0D以上と競合技術と比較しても広いため、小児弱視や白内障などの患者の他、通常の視力矯正にも対応する。大阪大学発のスタートアップであるエルシオが同技術を用いた視力矯正用の度数可変眼鏡を開発しており、眼鏡に備えられたスイッチやスマートフォンにより度数の調整が可能になるという。2021年の製品プロトタイプ完成を目指す。
また、眼鏡の他に照明用レンズやVR(仮想現実)ゴーグル、監視カメラ、車載カメラといったアプリケーションへの適用も見込んでいる。同研究グループは今後、レンズ消費電力の削減やレンズ透過率のさらなる向上を進める方針だ。
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