近視進行抑制メガネ型医療機器の開発プロジェクトを開始:医療機器ニュース
ジンズホールディングスは、「バイオレットライト」を用いて近視の進行を抑制する、メガネ型医療機器の共同開発に着手した。同プロジェクトを通じて、管理医療機器事業へ本格参入する。
ジンズホールディングスは2019年8月7日、「バイオレットライト」を用いて近視の進行を抑制する、メガネ型医療機器の開発に着手したと発表した。慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業、坪田ラボとの共同プロジェクトとなる。
バイオレットライトは、太陽光に含まれる波長360〜400nmの領域の光だ。ヒヨコを用いた慶應義塾大学の基礎研究と、ヒトの臨床研究において、バイオレットライトには近視進行を抑制する効果があることが報告されている。
今回の共同プロジェクトで開発する近視進行抑制メガネ型医療機器は、近視が進行しやすい6〜12歳の小学生を対象とする(製造販売承認申請時には対象範囲設定が変更になる可能性あり)。
フレームの内側に照射ライトを搭載し、小学生が屋外に3時間滞在するのと同程度の照度のバイオレットライトを放射する。ライトは直接視界には入らず、外側からも見えない。フレームには子どもが安心して装着できるよう、軽量で弾力性に優れた素材を使用し、普通のメガネと変わらない自然なデザインを目指す。
2019年から治験の準備を整え、2020年以降に治験を開始し、その2年後に製造販売の承認取得を計画している。ジンズホールディングスは、近視進行抑制メガネ型医療機器の開発について、メガネの役割を「視力補正」だけでなく、「近視の進行そのものを抑制するソリューション」へと拡大させる新たな挑戦だとしており、同プロジェクトを通じて、管理医療機器(クラスII)事業へ本格参入する。
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