深紫外ピコ秒レーザー加工装置、半導体パッケージやガラスの高速微細加工を実現:金属加工技術(1/2 ページ)
三菱電機、大阪大学、スペクトロニクスは、レーザー加工装置として高速に微細加工が行える「高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置」の試作機の開発に成功したと発表した。
三菱電機、大阪大学、スペクトロニクスは2021年6月22日、レーザー加工装置として高速に微細加工が行える「高出力深紫外ピコ秒レーザー加工装置」の試作機の開発に成功したと発表した。材料を分解する能力が高い266ナノメートル(nm)の深紫外でパルス幅がピコ秒の短パルスレーザーを平均出力50Wで照射することにより、従来技術では加工が難しかった透明なガラスなどの高速微細加工を実現し、作業時間の短縮などを実現する。
半導体の微細化などを背景に、半導体後工程などで使用される微細レーザー加工機では、従来よりも微細な5〜10μmサイズの高品位な加工が求められている。こうした領域で微細加工を行うには、より短い波長のレーザー光源を活用する他、レーザーの散逸による加工品質の劣化を抑えるために狭いパルス幅での制御が求められる。
また、ホウケイ酸ガラスなどは、従来の波長では透過してしまい加工が難しかったが、深紫外レーザーの266nm波長では透過しないために加工が行いやすい。同様の透明材料や樹脂材料も多いため、加工対象材料を増やせるという利点がある。
これらを背景として開発されたのが、今回の技術である。もともとは、1993年に大阪大学が、波長変換により高出力深紫外光を発生可能なCLBO(セシウムリチウムボレート結晶)の開発に成功したことをきっかけとし、1997年に三菱電機と大阪大学が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで連携を開始。その2016年にCLBO結晶を用いて高効率で深紫外ピコ秒パルスを発生する技術を開発したスペクトロニクスが加わり、今回の試作機開発を実現したという。
試作機開発では、レーザー加工機をもともと開発していることから高出力増幅器や加工光学系の設計を三菱電機が担った。大阪大学が深紫外レーザー発生用結晶の開発、スペクトロニクスがレーザー光源の開発を担っている。
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