「Autodesk AI」が非創造的な作業からの解放やデータ分析、洞察の獲得を促進:Autodesk University 2023(3/3 ページ)
Autodeskは年次グローバルカンファレンス「Autodesk University 2023」のゼネラルセッション(1日目)において、AIを活用した新たなソリューション「Autodesk AI」を発表した。
進化を続ける製造業向けクラウド「Autodesk Fusion」
キンダー氏は自動車業界だけでなく、その他の業界でも大きな転換点を迎えようとしており、変化のスピードが加速していることを指摘する。そして、こうした変化に合わせて進化し、成長を続けていくためには「Autodesk Fusionのような産業別クラウドが必要だ」(キンダー氏)と訴える。
オートデスクは10年以上にわたってAutodesk Fusionへの投資を継続しており、設計、シミュレーションから、エレクトロニクス、製造、工場の運営までを1つの環境に統合するとともに、ジェネレーティブデザインなどのAI技術を取り入れてきたという。今回発表されたAutodesk AIは、業界に先駆けて設計、製造の領域にAIを取り入れてきたオートデスクの長年の取り組みを象徴するものであり、製造業だけでなく、メディア&エンターテインメント、建設業の現場における反復的なタスクの自動化や、複雑なデータを分析して予測的な洞察を獲得するのに役立つ。
Autodesk Fusionを通じて利用可能となるAI(Autodesk AI)関連の機能としては、まず図面作成の自動化が挙げられる。「製品設計で最も時間を要しているのが図面作成だ。図面作成は付加価値のない手続き型のタスクであり、熟練エンジニアの作業時間の60%を費やしているといわれている。間もなく、ボタンをクリックするだけで3Dモデルから完全な寸法の図面に変換する自動図面機能を提供する予定だ」(キンダー氏)という。
切削加工用のツールパスをAIで自動分析/生成する機能も提供する。これにより、NCプログラムの作成時間が最大80%短縮できるとしている。さらに、買収したBlank.AIの生成AI技術によって、コンセプトデザインの探索が行えるようになる。セマンティック制御と自然言語によって既存のデザインスタイルをベースとする3Dコンセプトをリアルタイムに生成できるようになるとしている。
ゼネラルセッションの中で、Cadence Design Systems(以下、ケイデンス)との協業についてもアナウンスがあった。Autodesk Fusionとケイデンスの生成AI機能を備えた「Allegro X Design Platform」および「OrCAD X Platform」との自動設計同期を実現するなど、両社は効率的なエレメカ協調設計環境を提供し、スマート製品の開発促進につなげていくという。その他、工場向け3Dシミュレーションを手掛けるFlexSimの買収にも触れ、サプライチェーンの見直しに伴う工場建設ニーズに対して、設計から構築、工場の運用まで総合的なソリューション提案が可能になった点をアピールする。
「Autodesk Fusionは、個人ニーズへの対応から始まり、組織全体におけるニーズへの対応へと進化してきた。AI活用による自動化からエレメカ統合、工場シミュレーションに至るまで、エンドツーエンドの機能を備え、拡張し続けていく。あらゆる業界で転換点を迎える今、加速するテクノロジー曲線の先を見据え、避けられない変化をチャンスに変えるため、Autodesk Fusionは今後も成長を続けていく」(キンダー氏)
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