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電子材料の宇宙環境耐久性を評価する宇宙暴露実験の1次評価結果を発表:材料技術
パナソニック インダストリーは、同社の電子材料の宇宙環境耐久性を評価する宇宙暴露実験について、1次評価の結果を発表した。実験サンプルを約2カ月間、宇宙空間にさらし、材料特性の変化を調べた。
パナソニック インダストリーは2023年10月12日、同社の電子材料の宇宙環境耐久性を評価する宇宙暴露実験について、1次評価の結果を発表した。
同社は同年3月から約2カ月間、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」の船外実験プラットフォーム上で、低伝送損失多層基板材料「MEGTRON」シリーズをはじめとする10種類の製品を重ね合わせた実験サンプルを宇宙空間にさらした。
回収したサンプルが地球に帰還した後、材料特性が変化したかを調べた。その結果、全てのサンプルは曝露前後で色調や電子顕微鏡画像に変化はなく、宇宙空間でも製品の外観を保てることが示された。
また、比誘電率(Dk)と誘電正接(Df)の比較でも、暴露前後で変化はなく、サンプルが実験前と同等の電気特性を保持していることが明らかとなった。
フーリエ変換赤外線分光法(FT-IR)による解析からは、サンプルのスペクトルが宇宙環境の影響を受けていないことが確認できた。
宇宙環境では、地上とは比較にならない量の宇宙放射線や紫外線にさらされ、微小重力、高真空、大きな温度差が生じる。こうした過酷な宇宙環境での実験を通じて、同社は製品の品質や耐久性の高さが実証されたとしている。今後、2023年度末までに、2次評価として熱分析や断面観察などの解析を進める。
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