三菱ふそうの小型EVトラック「eCanter」はバッテリー交換や無線充電も可能に?:ジャパンモビリティショー2023
三菱ふそうトラック・バスは「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」でプレスカンファレンスを開催した。
三菱ふそうトラック・バスは2023年10月25日、「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー、旧東京モーターショー)」(プレスデー:2023年10月25日〜26日、一般公開日:10月28日〜11月5日、東京ビッグサイト)でプレスカンファレンスを開催した。
プレスカンファレンスの登壇者。左から、三菱ふそうトラック・バス 代表取締役社長 CEOのカール・デッペン氏と同社 取締役副社長・国内販売・カスタマーサービス部長の林春樹氏。世界初公開車両となった大型トラック「スーパーグレート」新型モデルのプロトタイプとともに[クリックで拡大]
プレスカンファレンスに登壇した同社 代表取締役社長 CEOのカール・デッペン氏は「当社は2039年までに国内販売新車のCO2排出をゼロにする目標を掲げているが、このコミットメントを既に形にしているのが小型EV(電気自動車)トラックの『eCanter』だ。2023年3月には3代目となる新型モデルを発売しており、今展示会ではダンプ架装とごみ収集車のバリエーションも展示している」と語り、2017年に初代モデルを投入し小型EVトラック市場で先行してきたeCanterの強みを強調した。
eCanterの事業展開を拡大する上で重要になるのが充電インフラだ。新型eCanterは41kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、満充電からの走行距離は116km、充電時間は急速充電で40〜50分(0→90%)、普通充電で約8時間となっている。今後小型EVトラック市場が拡大する中では、1台の車両を連続運用していくことも求められるが、そのためには充電時間を短縮する必要が出てくる。その究極形として展示したのが、eCanterのバッテリー交換式モデルと交換ステーションだ。
三菱ふそうトラック・バスは米国のアンプル(Ample)とバッテリー交換技術の共同実証を行っている。Ampleのモジュールを装着したeCanterがAmpleのバッテリー交換ステーションに入庫すると、ロボットが自動でバッテリーを交換する仕組みで、バッテリー交換時間は5分を目標としている。
また、現行のEVは急速充電、普通充電とも充電ケーブルをつなげる必要があるが、これを無線充電に置き換えることができれば充電作業の負荷を低減できる。ただし、EV向けの無線充電システムは自動車業界で長年検討されてきたものの実用化できていないのが現状だ。今回の三菱ふそうトラック・バスの展示では、バッテリー交換ステーションの隣でダイヘンが開発した出力15kWの無線充電システムを披露しており、充電インフラの革新に強い意識を持っていることを印象付けていた。
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