三菱ふそうの燃料電池トラックは「コンセプトカーだが走行可能」:東京モーターショー2019
三菱ふそうトラック・バスは、「第46回東京モーターショー2019」において、燃料電池小型トラック「Vision F-CELL」を初披露した。同社の小型電気トラック「eCanter」に続き、電動技術を活用したゼロエミッションの商用車の将来展望を示すコンセプトモデルで、量産時期は未定だ。
三菱ふそうトラック・バスは、「第46回東京モーターショー2019」(会期:2019年10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、燃料電池小型トラック「Vision F-CELL」を初披露した。同社の小型電気トラック「eCanter」に続き、電動技術を活用したゼロエミッションの商用車の将来展望を示すコンセプトモデルで、量産時期は未定だ。
同社 社長兼CEOのハートムット・シック氏は「当社は、2017年にeCanterの少量生産に踏み切ることで業界をリードしてきた。現在までに、日本、米国、欧州市場で140台以上を出荷しており、それらの走行距離は合わせて100万kmに達する」と語る。
この成功を基に、同社を傘下に収めるダイムラー(Daimler)は大型電気トラックを米国と欧州市場に試験的に投入している。「ダイムラーのトラック部門は電気トラックの技術で業界をリードしている。今後も、グローバルプラットフォームとして開発を進めて行く」(シック氏)という。
燃料電池システムは中国のRe-Fire製
三菱ふそうトラック・バスは、ゼロエミッションの商用車という観点で、電気トラックにとどまらないさらなる取り組みを進めている。それを形にしたのが、今回初披露したVision F-CELLだ。電気トラックの場合、走行距離を伸ばすにはより多くのバッテリーを搭載する必要があり、その充電にも時間がかかるという課題がある。燃料電池トラックであれば、それらの課題を解決できるというわけだ。
Vision F-CELLは、最高出力135kWのモーターで走行する7.5トントラック(最大積載量は3トン)だ。燃料電池システムは中国メーカーのRe-Fire製で発電力は46kW。走行距離は200k〜300km以上で、水素ステーションでの水素補充は約2分で完了する。コンセプトカーではあるものの走行可能な試作車であり、シック氏は報道陣に向けて「近いうちに試乗のご案内をできることを楽しみにしている」とコメントした。
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