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水素製造から発電までを一貫して実証できる施設が本格稼働:工場ニュース
三菱重工業は高砂製作所で整備を進めてきた「高砂水素パーク」の本格稼働を開始した。水素の製造から発電まで一貫して実証できる施設で、次世代の水素製造技術を順次拡充し、ガスタービン実機を用いた水素混焼、専焼の実証を進める。
三菱重工業は2023年9月20日、高砂製作所(兵庫県高砂市)で整備を進めてきた「高砂水素パーク」の本格稼働を開始したと発表した。水素の製造から発電まで一貫して実証できる施設で、次世代の水素製造技術を順次拡充し、ガスタービン実機を用いた水素混焼、専焼の実証を進める。
高砂水素パークは、水素の製造、貯蔵、利用の3エリアで構成される。製造エリアには、ノルウェーのハイドロジェンプロから導入したアルカリ水電解装置を設置し、稼働を開始した。ここで生産した水素は、貯蔵エリアに設置した3万9000Nm3の水素貯蔵設備に保管する。
水素燃焼の実機検証は、利用エリアに設置した実証設備複合サイクル発電所で、45万kWレベルの大型JAC(J-series Air-Cooled)形ガスタービン、4万kWレベルの中小型H-25形ガスタービンを活用して行う。同年内にJAC形ガスタービンを使って水素30%混焼発電を検証し、2024年にはH-25形ガスタービンで水素専焼実機を実証する。
また、水素製造では、固体酸化物電解セル、アニオン交換膜水電解、次世代ターコイズ水素製造技術の検証および実証を進める。同社によるこれらの技術製品は、同年8月に運用を開始した「長崎カーボンニュートラルパーク」(長崎県長崎市)で要素技術を開発した後、高砂水素パークで実用化に向けた実証に取り組む。
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