データ駆動による完全循環型バイオアダプティブ材料の開発を推進:マテリアルズインフォマティクス
日立製作所は、再資源化可能な完全循環型バイオアダプティブ材料の開発に向けて、東京大学と協創すると発表した。東京大学の実験データやノウハウを、同社のMI向けAI技術により分析することで、データ駆動による開発を推進する。
日立製作所(日立)は2023年9月11日、再資源化可能な完全循環型バイオアダプティブ材料の開発に向けて、東京大学との協創を発表した。データ駆動によるバイオマテリアル開発の手法を確立し、医薬品や化粧品、食品などにも利用できる安全なバイオアダプティブ材料の開発を目指す。
バイオアダプティブ材料は高分子材料の1種で、生体と材料の反応を通して機能を発揮する。日用品や医薬品など、人に触れるものに用いられている。
今回の協創では、東京大学が合成、評価したアミノ酸の重合体となるタンパク質の実験データを、日立のMI(マテリアルズインフォマティクス)向けAI(人工知能)技術で分析する。データ駆動により、材料用途に合う高性能なタンパク質の設計、開発を目指す。
東京大学では、約2万種のタンパク質を選定し、生体適合性を予想する際に重要となる水溶性などの指標についてデータを蓄積してきた。これに、生体中に存在する分子全体をまとめたオミクス情報を加え、生体適合性情報を含むバイオ、高分子のデータベースを構築する。
日立は、アミノ酸配列を分析するMI向けのAIを化学式の代わりに提供し、最適な実験候補の材料を提示する。東京大学はこれに基づいて実験を進め、バイオアダプティブ材料の開発を加速させる。
生体分子のタンパク質を用いてデータ駆動による材料創出が可能になることで、環境中で速やかに分解される、アレルギー反応を起こさないなどの特性を有した、安全なバイオマテリアルの基礎開発を進めるとしている。
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