DMG森精機が埋めるミッシングピース、クラボウ傘下の工作機械メーカーを子会社化:工作機械
DMG森精機は「KURAKI(クラキ)」のブランド名で横中ぐりフライス盤などを製造、販売する倉敷機械をグループに加える。
DMG森精機は2023年9月6日、「KURAKI(クラキ)」のブランド名で横中ぐりフライス盤などを製造、販売する倉敷機械をグループに加えることを発表した。
DMG森精機は倉敷紡績(クラボウ)が保有する倉敷機械の株式100%を譲り受け、連結グループ化する。株式の譲渡は2023年10月31日に行われる予定となっている。
倉敷機械はDMG森精機では製造していない、CNC横中ぐりフライス盤の製造、販売を中心事業としている。DMG森精機は2017年に倉敷機械と米国における販売契約を結び、2022年には米国の32州まで独占販売契約を拡大した。
倉敷機械のCNC横中ぐりフライス盤は航空宇宙、新エネルギー、重機械産業で需要が増加しており、これらの領域では中長期的にも成長が見込める一方で、倉敷機械は欧州における売り上げが少なかった。
DMG森精機は欧州に業界有数の販売、サービス体制を有しており、欧州でCNC横中ぐりフライス盤を必要とする主力産業である、航空、新エネルギー、電源開発、船舶用事業などとも関係性があることから、欧州における拡販も期待する。
「グローバルな工作機械業界における長年の経験や販売網、事業改革のノウハウを有していることに加え、既にクラキと米国において販売契約を締結するなど共同事業を行っているDMG森精機がベストオーナーであると判断した」(クラボウ)
新潟県長岡市に本社、工場を置く倉敷機械はクラボウの出資の下、1938年に工作機械の製造を目的に設立された日本重工業を前身とする。海外では米国と中国、台湾に事業所を持つ。
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