省スペースなSPE対応マネージドスイッチ、イーサネット直結で現場のIoT化促進:産業オープンネット展2023
フエニックス・コンタクトは「産業オープンネット展2023」において、シングルペアイーサネット(SPE)対応のマネージドスイッチ「FL SWITCH 2303-8SP1」を参考展示した。
フエニックス・コンタクトは「産業オープンネット展2023」(2023年7月21日、大田区産業プラザ)において、シングルペアイーサネット(SPE)対応のマネージドスイッチ「FL SWITCH 2303-8SP1」などを参考展示した。
シングルペアイーサネットは、これまで4芯2ペアもしくは8芯4ペアのケーブルが必要だったデータ転送が、2芯1ペアのケーブルで行うことができるようになる通信規格だ。伝送距離は最大1km、伝送速度は最高10Gbpsで、電力供給も最大50Wまで使用可能になっている。
FL SWITCH 2303-8SP1は、2019年にIEEE(米国電気電子学会)に承認されたSPEの関連規格IEEE 802.3cgの長距離用配線である10BASE-T1Lに対応しており、伝送速度は10Mbps、最大1kmの通信が可能となっている。Power over Data Line(PoDL)によりセンサーなどの末端機器に最大3.2Wで給電できる。
2芯1ペアのSPEに準拠したIEC 63171-2 IP20のコネクターは従来のイーサネットのコネクターよりも小さいため、スイッチ本体の省スペース化にも貢献する。イーサネットに直結できるため、ゲートウェイやサブシステムも必要なくなる。「工場のIoT(モノのインターネット)化が進む起爆剤になる可能性もある」(同社の説明員)。日本国内では2023年内の発売を予定している。
TSN(Time Sensitive Networking)対応マネージドスイッチ「FL SWITCH TSN 2316」も参考出品した。日本では2023年内に発売する見通しで、当初はPROFINET OVER TSNとCC-Link IE TSNに対応、その他の規格に関しても順次対応する見込みだ。
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