赤字を出さないユニリーバのリサイクルプログラム、登録者は110万人を突破:リサイクルニュース(2/2 ページ)
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティングは、「第23回JAPANドラッグストアショー」内のビューティケアゾーンに出展し、SDGsプラットフォーム「UMILEプログラム」の取り組みや成果を紹介した。
色付きボトルのリサイクル法とは?
また、シャンプーやリンスなどの使用済みプラスチックボトルは色やラベルが付いているため、これまでリサイクルすることが難しかったが、ユニリーバではこれらのプラスチックボトルからフェルトボードを作れる技術を持つ工場とパートナーシップを結び、これらのプラスチックボトルからクリスマスツリーに飾るフェルトボード製のオーナメントを製造する体制を構築している。「現在、三菱地所あるいは東急不動産が管理する街区で2023年のクリスマスに設置するクリスマスツリーにこのオーナメントを飾るプロジェクトも計画している」(説明員)。
なお、このプロジェクトは東京都の公募事業に採択され、サポートされることが決まっている。具体的には、2023年11月3〜5日に東急田園都市線「南町田グランベリーパーク」駅に設置する回収ボックスで得られた使用済みプラスチックボトルからフェルトボード製のオーナメントパーツを作る。その後、商業施設「南町田グランベリーパーク」でクリスマスにイベントを開催し、オーナメントのパーツを来場した子供に配布し、それらのパーツを組み合わせてオーナメント作りを楽しんでもらう。そのオーナメントは会場に設置するクリスマスツリーに飾ったり、持ち帰ったりできるようにする。
加えて、地域や自治体との連携も推進している。一例を挙げると、調布市と連携し、京王線「調布」駅前の広場に配置されたボタニカルライトのプランターの装飾に、UMILEプログラムにより回収した詰め替え製品を洗浄/粉砕したフレークを導入している。ボタニカルライトは植物と共存する微生物が生命活動をする際に土や水の中で放出される電子を利用して発電する照明だ。
これらの取り組みが評価され、2023年8月18日時点で公式LINEアカウントの登録者数は113万人を超えている。同月時点で、使用済みプラスチック容器の回収拠点(パートナー店舗)は小売店/鉄道の駅などの150拠点に達し、配布されたUMILE数は11万24UMILE、容器の回収量は13万931gに上る。
説明員は「企業が行うサステナビリティの取り組みはコストだけがかかり、負担となるケースが多く途中で中断しなければいけないケースが多いと聞く。しかし、当社では、回収ボックスを設置したパートナー店舗でのユニリーバ製品の売り上げアップやリサイクルグッズ販売の利益などで、サステナビリティの取り組みで要した原資を回収できる仕組みを構築しており、継続しやすい」とコメントした。
同社では、UMILEプログラムの最終目標として、ボトルtoボトル、パウチtoパウチなど、ユニリーバ製品の水平リサイクル実現を掲げている。加えて、他社製の使用済みプラスチック容器を回収する体制の構築や水平リサイクルで対応できない海外製の使用済みプラスチック容器をリサイクルグッズとすることなども構想している。
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