レーシングカー製作用型材を大学に提供、人材育成に協力:材料技術
日本インシュレーションは、レーシングカーの製作にも利用される型材のCFRP用型材アルティーボードFSを、豊橋技術科学大学自動車研究部に提供した。学生の活動を支援し、自動車技術向上のための人材育成に協力する。
日本インシュレーション(JIC)は2023年7月28日、レーシングカーの製作にも利用される型材のCFRP(炭素繊維強化プラスチック複合材料)用型材アルティーボードFSを、豊橋技術科学大学自動車研究部に提供したと発表した。
CFRP用型材アルティーボードFSは、テニスラケットなどのスポーツ用品や、飛行機、自動車、電化製品などさまざまな用途に使われるCFRPを、高温かつ高圧で成形するオートクレーブ成形で使用される。きめ細かい材質のため加工性に優れ、複雑な形状に成形可能。熱にも強く、割れが発生しにくい特徴がある。最大サイズは50×1020×3080mmで、希望するサイズにプレカットができる。
アルティーボードは、CFRP成形に使われる型材の素材として2017年にJICが発売。不燃意匠内装建材のタイカライトウッドを型材として活用するために改良したもので、主に自動車部品の成形工程で利用されている。
タイカライトウッドは加工性に優れ、木材では表現できないリブ・モール・レリーフを製造できる。耐熱性と変形が起きにくい特徴があり、2013年に豊橋技術科学大学自動車研究部から、自動車の部品製造に活用したいとの提供依頼があった。
JICは、学生の自動車技術の向上や人材育成を目的としたコンテスト「学生フォーミュラ日本大会」の趣旨にも賛同している。そのため、豊橋技術科学大学の要請に応じて、2013年よりタイカライトウッドを、2017年よりアルティーボードを提供しており、今回で4回目の提供となった。
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