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燃料電池の触媒反応をモデル化、BMWやエアバスが量子コンピュータで:電動化
QuantinuumはエアバスやBMWグループとともに燃料電池の触媒の化学反応をテーマにハイブリッド量子古典ワークフローを開発した。
Quantinuum(クオンティニュアム)は2023年8月2日、エアバスやBMWグループとともに燃料電池の触媒の化学反応をテーマにハイブリッド量子古典ワークフローを開発したと発表した。白金系触媒の表面における酸素還元反応を高精度にモデル化した。
酸素還元反応は燃料電池で水素と酸素が水と電気に変換するプロセス。効率に限界があり、大量の白金を使用するため、メカニズムへの理解を深めることが重要だとしている。また、酸素還元反応を高精度にモデル化することは古典的なコンピュータでは困難だという。
クオンティニュアム、エアバス、BMWグループの3社は、クオンティニュアムのHシリーズ量子コンピュータを使用し、酸素還元反応が産業用ワークフローにおける量子コンピューティングに適用できることを実証した。酸素還元反応への理解を深め、コスト削減につながる代替材料の特定に役立つ知見を得ることが期待できるという。3社は燃料電池の触媒以外でも協業することを予定している。
BMWグループは量子コンピューティングを用いた電気化学プロセスのシミュレーションに初めて取り組んだ。燃料電池の他、金属空気電池などさまざまな製品の能力向上に資すると期待を寄せる。エアバスは、水素が航空機の低炭素化において水素が有望だとしている。燃料電池推進システムの試験を数年以内に開始する他、2035年までに水素を動力源とする民間航空機を開発して市場投入する目標だ。
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