ソースネクストが高齢者見守りサービス参入、ミリ波レーダーで非接触モニタリング:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
ソースネクストとTellus You Careが、一人暮らしの高齢者の睡眠習慣や心拍数などを60GHz帯のミリ波レーダーを用いて測定し、非接触モニタリングによる見守りを可能にするデバイス「POM」の国内販売で協業すると発表した。
「ポケトーク」の部品調達や工場ライン改善のノウハウを生かす
専用アプリでは、見守り対象者の睡眠中における呼吸数と心拍数の他、朝起きてベッドや布団から出たか、床に就いたかなどの情報を確認できる。これらの情報は、1日前、2日前との比較も簡単にできるようになっている。加齢によって睡眠習慣が変化することが知られており、基準となる睡眠習慣をAI(人工知能)で学習した上で、体調の異変の予兆となり得る睡眠リズムの変化を知らせる機能も備えている。
なお、現時点では一人暮らしの高齢者向けとなっているように、高齢者夫婦など同室にいる2人以上の見守り対象者それぞれのバイタルデータを取得することはできない。このため、高齢者夫婦の非接触モニタリングへの対応は今後の新製品開発における大きなテーマになりそうだ。
Tellusは既に日本国内で、病院や介護施設といったB2B向けの事業展開をスタートさせており、今回のソースネクストとの協業によってB2C向け事業に初めて乗り出すことになる。Tellus CEOのタニア・A・コーク氏は「65歳以上の高齢者が人口の30%を占めるなど、日本市場ではPOMのような高齢者見守りサービスのデバイスが求められてると考えた。また、メモアプリのEvernoteのようなスタートアップの製品やサービスの日本での拡販で実績のあるソースネクストと協業できることは心強い」と語る。
ソースネクスト 代表取締役社長 兼 COOの小嶋智彰氏は「高齢化が進む中で在宅高齢者を見守るニーズは高まっているが、既存のカメラ型やセンサー型、通報ボタン型のサービスには幾つか課題があった。POMは、Tellusが持つミリ波レーダーとAIの技術によってそれらの課題を解決できる。価格設定も、競合サービスを調査した上で、競争力のあるものとした」と意気込む。なお、ソースネクストは、顧客の要望や市場ニーズをTellusに届けて新機能開発を進められるようにする他、同社が開発/販売する「ポケトーク」などの量産で得た部品調達や工場ライン改善のノウハウなどをPOMに適用し、供給の安定化などにつなげたい考えだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 77GHz帯だけじゃない、ミリ波レーダーが開く車載センサーの可能性
車載のミリ波レーダーと言えば、先行車両の検知に用いられる77GHz帯の製品が広く知られている。「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」では、村田製作所と京セラが、それとは異なるタイプの車載ミリ波レーダーの展示を行った。 - 介護施設や保育施設を見守るミリ波レーダー、79GHz帯化で10分の1サイズに
京都大学のCenter of Innovation(COI)とパナソニックは、離れたところから高精度に心拍数と心拍間隔を計測できる生体情報センシングセンサーを小型化/高感度化した「非接触ミリ波バイタルセンサー」を共同開発した。2018年度に保育施設などで予定されている実証実験を経て、さまざまなアプリケーションの検討を進めていく。 - 心拍や呼吸などの微細な振動を高精度に検出する非接触センシングシステム
京セラは、低ノイズのミリ波センサーを活用し、非接触で心拍や呼吸変動、機械、建造物などの微細な振動を検知、抽出する「非接触インテリジェントミリ波センシングシステム」を開発した。 - ミリ波レーダーの進化版「4Dイメージングレーダー」、自動車と介護の見守りに提案
「4Dイメージングレーダー」を手掛けるイスラエルのVayyar Imagingの日本法人Vayyar Imaging Japanは2022年6月15日、日本での事業戦略を発表した。Vayyar Imagingは2022年2月に日本法人を設立。日本では、介護での見守りと自動車用の2つに注力する。 - ミリ波レーダーで振動の非接触測定を実現、故障を予知する「CbM」向けに展開
アナログ・デバイセズがモーターなどの振動の変化から不具合発生を事前に検知できるCbM(状態基準保全)用のミリ波レーダー「miRadar CbM」について説明。さまざまなレーダー製品を手掛けるサクラテックと共同開発したもので、CbMで広く用いられている加速度センサーを搭載する振動計と異なり、非接触で振動を計測できる点が最大の特徴となる。 - ミリ波レーダーで居間にいる家族全員の心電図が見られる、センサーは10cm角に
パナソニックと京都大学が、両者が共同開発しているミリ波レーダーを用いた非接触の生体情報センシング技術について説明。心拍だけでなく心拍間隔も計測できる高い精度と、測定対象が1人だけでなく複数人数の同時計測が可能な点が特徴。将来的には、センサーモジュールを10cm角まで小型化することも視野に入れている。