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レーザーの分岐による多点同時金属加工も可能、耐光性能700Wの空間光位相変調器:FAニュース
浜松ホトニクスは、耐光性能700Wの空間光位相変調器「X15213-03CL」を発表した。独自の熱設計技術の応用により放熱性能を高めたほか、同製品を金属加工装置に組み込むことでレーザーの分岐による多点同時加工が可能になる。
浜松ホトニクスは2023年6月20日、耐光性能700Wの空間光位相変調器「X15213-03CL」を発表した。同年12月1日に発売予定で、価格は330万円(税込)。初年度に年10台、3年後に年100台の販売を目指す。
空間光位相変調器は、レーザーの照射パターンを自由に制御できる金属加工向けの光学部品だ。新製品のX15213-03CLは、独自の熱設計技術の応用により放熱性能を高め、耐光性能を従来製品の約3.5倍となる700Wに高めた。
空間光位相変調器は、高出力のレーザーを入射すると液晶層の温度が上昇し、性能が低下してしまう。同社はカバーガラスに熱伝導率が高いサファイアを採用し、パッケージ内部の構造を最適化して熱伝導率の高い充填剤を用いることで、耐光性能の向上に成功した。
同製品を金属加工装置に組み込めば、レーザーの分岐による多点同時加工が可能になる。金属粉を焼き固めて航空機や輸送機器向けの部品を成型する金属3Dプリンタ、金属の溶接や切断加工機などへの適用を想定する。
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