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ホンダが八千代工業を売却、欧州サプライヤーの傘下に製造マネジメントニュース

ホンダは連結子会社の八千代工業をインドのSamvardhana Motherson Internationalの完全子会社に売却する。

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 ホンダは2023年7月4日、連結子会社の八千代工業をインドのSamvardhana Motherson International(マザーサン・グループ)の完全子会社に売却すると発表した。

 ホンダは八千代工業を公開買い付けによって完全子会社化した上で、八千代工業の議決権の81%に相当する株式をマザーサン・グループでオランダに本社を置くSMRC Automotive Holdings Netherlands(マザーサン)に譲渡する。譲渡後のホンダの議決権保有割合は19%となる。八千代工業の株式に対する公開買い付けは、2023年10月ごろの開始を目指している。

 八千代工業が主力とする樹脂部品は、電動化に伴う自動車メーカーの要求の変化、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど社会的要請への対応が求められており、そのための技術力や提案力が今後一層求められる。八千代工業が培ってきた日系自動車メーカー向けの外装部品に必要な開発力や品質のノウハウと、マザーサン・グループが持つ加飾技術や持続可能な素材の開発技術、システム開発力を組み合わせることで、樹脂製品のラインアップ拡充や高付加価値な次世代製品の開発を実現する。

燃料タンクとサンルーフの今後の課題

 八千代工業は売り上げの90%がホンダグループ向けで、燃料タンクやサンルーフなどを納入している。ホンダは2040年までに新車を全てEV(電気自動車)かFCV(燃料電池車)にする計画で、燃料タンクを手掛ける八千代工業は、2030年ごろには生産能力の適正化や合理化が必要になるなど大きな影響を受ける。さらに、脱エンジンに向けた過渡期は、環境規制の厳格化や燃費性能の要求水準の高まり、中国など新興メーカーの技術力や競争力の向上によって、市場環境は一層激しくなると見込む。

 サンルーフについては、バッテリーの搭載増加に伴い車両のレイアウトを維持するためのさらなる軽量化や薄型化が求められる。さらに、電動車の車種によってはデザイン上の制約からサンルーフの採用率が低下し、需要が減少する可能性もあるとしている。

 こうした環境を受けて、経営資源を最適に配分するとともに、ホンダグループ以外への販路拡大や樹脂製品の事業拡大によって持続可能な成長を実現する基盤を確保することが八千代工業に不可欠であるとホンダは判断した。2021年6月ごろから、ホンダと八千代工業は議論を重ねてきた。

 マザーサン・グループは41カ国で事業を展開し、300カ所に製造拠点がある。ホンダなど大手自動車メーカーの生産要請に対応できる設備も持つ。マザーサンはVisteonグループの自動車内装事業にルーツがあり、日系自動車メーカーとの取引は少ないものの欧州自動車メーカーとの取引は多い。その販路を活用してホンダ以外の自動車メーカーとの取引を増やし、生産量の拡大や調達、生産のコスト削減を進めたい考えだ。国際的な競争力で既存事業を強化できるとしている。

 八千代工業がブラジルとインドに持つ子会社の株式は、ホンダの所有分を八千代工業が取得する。マザーサン・グループの生産拠点は日本と北米が手薄なため、八千代工業が持つ生産拠点で補完できるという。

 八千代工業が所有する合志技研工業の全株式はホンダに譲渡する。これにより合志技研工業に対するホンダの出資比率は95%となる。合志技研工業は二輪車向けのマフラーやフレームなどの部品を手掛けるサプライヤーで、ホンダと八千代工業、三恵技研工業の共同出資によって設立した。八千代工業は二輪車に振り向けていた経営資源を主力事業に投入する。

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