ロールtoロールのシート検査をAIで自動化、養生テープトップメーカーに導入:検査自動化
ロビットは、「ロールtoロール」の生産方式で製造されるシート形状のワーク検査に最適化したソリューション「TESRAY Rシリーズ」を新たに提供開始したと発表した。
AI(人工知能)とロボット技術を組み合わせた検査ソリューションを展開するロビットは2023年6月28日、「ロールtoロール」の生産方式で製造されるシート形状のワーク検査に最適化したソリューション「TESRAY Rシリーズ」を新たに提供開始したと発表した。既に、国内の養生テープ大手のダイヤテックスの製造ラインに導入したという。
ロビットが展開するAI外観検査ソリューション「TESRAY」は、検査工程の自動化に必要なAIや映像、ロボティクス技術を自社内に保有することで、高精度の異常検出を瞬時に行い、インラインで全数検査を行うことができる点が特徴だ。2018年から、製造業を中心にAIアルゴリズムを実装した検査ロボットや検査ラインの導入を進めてきた。その中で3次元形状検査に対応したモデルや食品などの小型の検査対象をターゲットとしたモデルなど、ラインアップを拡充してきている。
今回新たに開発した「TESRAY Rシリーズ」はロールtoロール生産方式で製造されるあらゆるシート状の製品の外観検査を行うことが可能だ。AIだけでなく、コンベヤーや撮像光学ユニットなどのハードウェア、装置を制御するソフトウェアをオールインワンで提供する。生産ラインの前後設備との連携にも対応しており、生産ライン全体での省力化を実現する。搭載されたAIアルゴリズムは、ルールべ―スの欠陥探知機では一致比率で発生した正常部の過検出(正常部を異常部と判定すること)を抑制する。具体的には、製品品質や外観上問題がない繊維のヨレなど、異常部に酷似した正常部を過検出せずに異常部のみを検出可能だ。
既に先行して養生テープの国内大手メーカーであるダイヤテックスに導入し、2022年から本格稼働を開始しているという。ダイヤテックスでは、以前から画像処理技術を用いた欠点探知機を導入し、養生テープの不良箇所を自動検知を行っていたが、探知レベルを上げると異常箇所の過検出が多くなり、場合によっては実際の製品不良箇所の100倍以上の検出結果が出ることもあったという。その再検査負荷が高くなっていたが、新たに「TESRAY Rシリーズ」を導入することで「欠点反応総数が導入前の165箇所から3箇所まで削減できたのと同時に、人の目と同等の判断が正確にできていることが分かった」(ダイヤテックス)としている。
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