オーク製作所が「JOINT2」に参画、次世代半導体パッケージにダイレクト露光を適用:FAニュース(2/2 ページ)
オーク製作所は、次世代半導体パッケージ技術の評価/検証を行うコンソーシアム「JOINT2」に参画し、開発を進めている次世代ダイレクト露光装置の性能を検証し、顧客提案力を強化する。
半導体業界に関する動向
半導体があらゆる電子製品に使われている昨今、半導体産業の競争力向上が各国の重要政策に浮上している他、経済安全保障の観点から、サプライチェーンを強化する動きが加速している。米国、欧州、中国などは、半導体産業に対して数兆円規模の投資を行い、サムスン電子やインテルなどの半導体企業は、サプライチェーンを維持/拡大することが経済の安定成長に不可欠と判断し関係が深い国や地域に生産拠点を展開しているという。
日本では、経済産業省が今後の政策の方向性を定めた「半導体・デジタル産業戦略」の改定資料を2023年6月に発表した。この資料によれば、後工程である先端パッケージ開発の先導/加速が進んでおり、国内の素材/装置メーカーだけでなく、海外ファウンダリーや半導体後工程の組み立てとテストを請けおうメーカーのOSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)とも連携して、先端材料/装置および先端製造技術開発を国内で進める動きがあるという。
例えば、2022年6月のTSMCジャパン3DIC研究開発センター(茨城県つくば市)、2022年8月のRapidus(北海道千歳市)、2022年12月の最先端半導体技術センター(LSTC)など、国内外のさまざまな半導体関連の拠点が設立されている。
技術に関しては、ウエハー上に回路を形成する半導体前工程の微細化を中心とした性能向上は物理的および経済的に限界を迎えつつあるため、半導体チップをパッケージングする後工程における高機能化が求められている。
さらに、半導体後工程の高度化/複雑化と関連する材料数の増加により、1つのニーズに対してすり合わせが必要な材料数が増えている。加えて、半導体のパッケージ構造は、主な用途であるPCやゲーム機、サーバに求められる、プロセッサやメモリを個別にパッケージしてマザーボード上に実装して接続するのに最適な「FC-BGA」が広く利用されてきた。
しかし、将来的な半導体の需要は、AI(人工知能)処理向けの高性能サーバやADAS(先進運転支援システム)などで高まると見込まれている。これらに対応する高速/大容量のデータ伝送を実現するために、伝送距離を短くする目的でプロセッサやメモリなどを近くに多く搭載し、チップを小型化して積層することで低コストと高機能を両立したパッケージ構造「2.xD/3Dパッケージ」が求められるようになるという。2.xD/3Dパッケージは、インターポーザ上に半導体チップを搭載し、プロセッサとメモリの伝送はインターポーザ経由で行われるため、インターポーザに微細な露光や加工が必要となる。こういったニーズも踏まえて、オーク製作所のJOINT2への参画が決まったという。
記者会見後、会場を移して、パッケージングソリューションセンターJOINT2関連設備の見学会が開かれ、パッケージングソリューションセンターのクリーンルームに導入されたオーク製作所製のダイレクト露光機「FDi-Ms」などが披露された。
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