品質管理にとどまらないTQM×IoTの効果+ISO9000の維持にIoTを活用せよ:トヨタ式TQM×IoTによる品質保証強化(8)(3/3 ページ)
本連載は、品質管理の枠組みであるトヨタ式TQMと、製造現場での活用が期待されるIoT技術を組み合わせた、DX時代の品質保証強化を狙いとしている。第8回は、品質管理にとどまらない他業務におけるTQM×IoTの活用効果に加えて、ISO9000シリーズを維持する上でのIoTの活用法も紹介します。
IoTによりISO9000で本来実施したかった品質経営を実現できる
これらのメリットを見れば、IoT活用によってISO9000の維持に関わる負担はかなり軽減されることがご理解いただけるかと思います。それぐらい現場がISO9000を維持するための面倒な作業をこれまでたくさん行ってきたとも言えます。
本連載でも紹介してきましたが、IoT活用によって品質管理業務で以下のような効果が得られます。
- 品質のチェックがデジタルに行われるため、正確な判断ができる
- 不具合が発生した際にデータの収集、解析のグラフ作成が自動で行われビッグデータを多角解析することにより不具合の要因特定が迅速に行える
- 品質不具合連絡では、関係部署を巻き込んだ解決のプロセスが現場を見なくても行えるため、是正措置での再発防止策が確実に立案できる
これらのことは従来のISO9000のルールだけでは十分に効果が出なかったことです。IoTという武器を使えば、ISO9000で本来実施したかった品質経営をようやく実現できるようになるのではないかと思います。ISO9000の維持で苦しんでいる企業の方はぜひご参考にしてください。
最後に
組織を横断した業務改善やそのためのシステム導入は企業にとってかなりハードルが高いこともあり、局所的な改善活動にとどまっているケースが多いです。しかしながら、業務に従事している人が四苦八苦しているのは、組織を横断した業務改善がなされず、正しい業務実施ができないことが原因となっています。
そのもやもやした状態が常態化してモチベーションを下げることにつながると企業の活力は低下してしまいます。逆に組織間の情報連携を円滑にしたり、業務標準化を行ったりすれば、特に論理がしっかりしている若手社員のモチベーションが上がり、企業の活力も飛躍的に高まります。欧米的なスキル保有者を高額な報酬で採用してすぐに業務実施できる状態にするよりも、日本企業は若手社員に“IoT”という武器を与えて組織横断的にモチベーション高く幅広い業務実施ができるように育成することが企業価値の向上につながるのではないでしょうか。
約3年間にわたるコロナ禍も落ち着き、これからさらに企業活動が活発化する時期に差し掛かっています。また人が膝を突き合わせて話し合える状況になってきました。ぜひ読者の皆さんには、とことん問題解決策を話し合い雑談もしっかりして、人間関係の信頼関係を再構築して、企業の発展、ひいては社会の発展に寄与していただくことを心から願っております。
長期間にわたり本連載をお読みいただきありがとうございました。厚くお礼申し上げます。(連載完)
本連載の執筆者である山田浩貢氏の書籍が発売中です!
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筆者紹介
株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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