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パナソニックは赤字3桁億円の車載充電器の改善とソフトウェアに注力車載情報機器(2/2 ページ)

パナソニック オートモーティブシステムズが中長期戦略の進捗について発表した。

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2030年に向けて

 パナソニック オートモーティブシステムズが2030年に向けて取り組む領域は、「モビリティ社会の変革に向けた新サービスの創出」「コックピット領域での新たなユーザー体験(UX)の価値提案、商品化」「コックピット統合ソリューションやEV(電気自動車)ソリューションなどでのクルマの進化への貢献」「カーボンニュートラルの達成」の4つだ。


2030年に向けて取り組む領域[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

コックピットシステム

 コックピット統合ソリューションに関しては、ソフトウェアが中心のアーキテクチャに転換が進むことで、ECU(電子制御ユニット)の統合やHPC(High Performance Computer)化が進むと見込む。既に、コックピットドメインコントローラーで2件受注した。

 これに向けて、自動車メーカーなどとの共創活動を推進していく。モデルベース開発(MBD)によるソフトウェア開発や、クラウドネイティブな開発環境の整備、アジャイル開発の実践などにより、新機能の投入サイクルの短縮を実現する。

 SDV(ソフトウェアデファインドビークル)の基盤となる仮想化やOS、セキュリティの他、開発革新を実現するツールや開発環境など「技術戦略財」も強化する。「収益性で他社が苦戦する中でも着実に利益を出していける。過去に開発費の減損などで収益を傷めた反省を踏まえている」(パナソニック オートモーティブシステムズ 代表取締役社長執行役員 CEOの永易正吏氏)という背景がある。2030年に車両の統合制御を行うHPCが売り上げに貢献することを目指す。

 HPC化では「パナソニックグループのYohanaなど最先端の取り組みを持ち込み、業界で最高の開発プラクティスを実践できる会社を目指して取り組んでいる」(パナソニック オートモーティブシステムズ 代表取締役副社長執行役員 CTOの水山正重氏)。

ソフトウェアのアーキテクチャの進化(左)。コックピット統合ソリューションの取り組み(右)[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

車載充電器事業の黒字化

 EVソリューションは、2028年に車載充電器事業の黒字化が目標だ。「過去に開発難易度が高くコスト面で厳しい案件を受注し、供給責任を果たす中で赤字が続いていた」(CEOの永易氏)という状況だったが、生産性改善やコストダウンの結果、2022年度は赤字幅が縮小した。ただ、「今も3桁億円の赤字」(CEOの永易氏)としており、競争優位性を生かしながら適切な収益性を確保できる案件に絞った受注活動も進める。また、受注済みの案件でもマイナーチェンジモデルが黒字化しており、これが2020年代半ばから売り上げに貢献する。

 今後は駆動用バッテリーの電圧が800VのEVや、車載充電器とDC/DCコンバーターの統合など市場の変化に対応しながら収益性を高める。特に、高出力な車載充電器は2022年の240万台から2031年には2680万台に市場が拡大すると見込んでいる。2030年に向けては、EVの高出力化や、車両から建物に電力を供給するV2Xの電力変換など、EVの普及の中で求められるパワーエレクトロニクスの要素技術の確立に向けた投資フェーズと位置付ける。名古屋大学とはGaNパワー半導体を使った800Vの車載充電器の開発に取り組んでおり、環境省のプロジェクトにも選定された。


EV向けパワーエレクトロニクスの戦略[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

ユーザー体験価値の創出

 UX価値創出に関しては、ソフトウェアとデバイスやモジュールの組み合わせたコックピット周辺領域に力を入れる。家族、高齢者、エグゼクティブなど、エンドユーザーを意識した移動体験を提案する。EVでユーザーの求める付加価値が走行性能から体験価値に変化していることや、中国などで先進的な機能の社会実装が加速していることに対応していく。


UXソリューションの取り組み[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

自社だけでなくサプライチェーン全体のカーボンニュートラル

 カーボンニュートラルに関しては、スコープ1、2で既に2022年度でCO2排出の実質ゼロを達成した。スコープ3は、自動車業界全体のライフサイクルアセスメント(LCA)の策定動向を注視しながら取り組む。製品別のCO2排出量の算出方法を策定することで、効率的なCO2削減プロセスを作成する。また、仕入先を含めたサプライチェーンのCO2排出の見える化の仕組み構築を進める。

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