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パナソニックは赤字3桁億円の車載充電器の改善とソフトウェアに注力車載情報機器(1/2 ページ)

パナソニック オートモーティブシステムズが中長期戦略の進捗について発表した。

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 パナソニック オートモーティブシステムズは2023年6月1日、オンラインで開催された「Panasonic Group 事業会社戦略説明会 2023」において中長期戦略の進捗について発表した。

足元の業績とオペレーション強化の進捗

 パナソニック オートモーティブシステムズの2022年度の売上高は2022年5月の見込みから2%増の1兆2975億円、営業利益は同18億円減の162億円、営業利益率は0.1ポイント低下して1.3%だった。為替影響を除いた売上高は2022年5月の見込みからマイナスだった。実質的な売り上げ減少や部材費の高騰は価格改定や合理化、固定費の削減で吸収した。

 パナソニック オートモーティブシステムズは2022年度から3年間、収益性と競争力の向上に向けた「変化対応力」の強化に取り組んでいる。オペレーション面ではコックピットシステムのソフトウェア開発で生産性3倍、アーキテクト数1.5倍に向上させる。環境面では年3%の省エネや、外部に依存しない再エネの比率を50%に引き上げることを目指す。


2024年度までの見通しを含む業績の指標[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

 財務面では2022〜2024年度の累積営業キャッシュフローを2000億円(2021年度は赤字)、ROIC(投下資本利益率)は8.5%(2021年度は1.6%)を目標とする。

 2027年度にはさらに収益性を改善し、営業利益率5%を目指す。具体的には、2022年度から取り組んでいる車載充電器事業のさらなる赤字縮小のため生産性改善やロスの低減を推進する他、コックピットシステムはソフトウェア開発支援サービスなど新形態のビジネスを拡大する。コックピットは、2022年度でも営業利益率が4.4%で収益のけん引役で、2027年度には営業利益率が7%を超える想定だ。車載エレクトロニクスは商品構成の入れ替えを進める。開発の効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の投資も推進し固定費の最適化を図る。


2027年度の目指す収益性[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

 ソフトウェア開発のオペレーションでは、リーディングプログラムで開発生産性3倍を実現した上で、量産開発プロジェクト全体にその手法を展開する。開発費の抑制によってキャッシュフローを改善するとともに、効率的により多くのテーマを開発できる体制を整え、提案力の強化や受注機会の拡大につなげる。


ソフトウェア開発のオペレーション強化[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

 モノづくりのオペレーションでは、自動車の生産変動への対応力を高める。個別拠点の取り組みを水平展開するとともに、組織横断の業務プロセス改善で競争力を生み出す。例えば敦賀拠点では、2022年度に生産リードタイム半減、AI(人工知能)導入ラインでの生産性2倍を達成した。同拠点で成果を出した、生産数や材料調達数のデジタルな決定、作業工程のムダの分析でのAI活用などを2024年末までに国内外の拠点に展開する。

 2023年度からは、ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)とSCM(サプライチェーンマネジメント)の両軸で業務プロセスの変革を始める。ECMでは部材の共通化や共用化、製造工法の標準化を進める。SCMは在庫や生産計画、BOM(部品構成表)の情報を整流化し、仕入先から納入先まで一貫して生産や物流をマネジメントするプロセスを構築する。


モノづくりのオペレーション強化[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

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