「マイコンでAI」、STマイクロNXPルネサスが競演:人工知能ニュース(2/2 ページ)
「第7回 AI・人工知能EXPO 【春】」の「小さく始めるAIパビリオン」に、STマイクロエレクトロニクス、NXPセミコンダクターズ、ルネサス エレクトロニクスが出展し、マイコンによるAI活用をテーマにしたデモ展示を披露した。
「Cortex-M85」マイコンで人物検知、処理速度は13fps
ルネサス エレクトロニクスは、Armの最新マイコン向けプロセッサコアである「Cortex-M85」搭載マイコンを用いたカメラによる人物検知AIのデモ展示を行った。
Cortex-M85は周波数当たりの処理性能の向上に加えて、ベクター演算処理技術「Helium」の再設計によって高度なDSPやAIアルゴリズムの処理性能も向上している。さらにデモで披露したPlumeraiと共同開発した人物検知AIは、AIアクセラレータやNPUを搭載しない汎用マイコン単体としてかなり高速な13fpsという処理速度を実現できている。
また、2022年7月に買収したReality AIのAI開発ツールを用いたモーター故障検知デモも披露した。モーター制御用マイコン「RA6T2」により、モーターを制御しながら電流の変動も検出して、モーター動作の異常をセンサーレスで検知できるようになっている。
Reality AIのAI開発ツールを用いたモーター故障検知デモ。モーターの先にネジで重りを付けた状態で回転させているため動作に異常が出ている。プリント基板左側のLED点灯数が2つなので異常が起きていることが分かる[クリックで拡大]
この他、富士通コンポーネントのマイクロ波センサーとReality AIのツールの組み合わせによって、センシング対象となる人が走っているのか、歩いているのか、止まっているのかなどの状態まで含めて見分ける存在検知デモを披露してみせた。「Reality AIのツールはセンサーデータを基に複数のAIモデルを自動生成してくれるので、後はその中から最適なものを選ぶだけでいい」(ルネサス エレクトロニクスの説明員)という。
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