いずれは3億人超、人口ボーナス最中のインドネシア流DXを推進へ:ハノーバーメッセ2023
パナソニックマニュファクチャリングインドネシアは「ハノーバーメッセ2023」において、同社で進めている生産高度化の取り組みなどを紹介した。
パナソニックマニュファクチャリングインドネシアは「ハノーバーメッセ(Hannover Messe)2023」(2023年4月17〜21日ドイツ時間、ハノーバー国際見本市場)において、同社で進めている生産高度化の取り組みなどを紹介した。
ASEANでは初めてのパートナーカントリー
今回、インドネシアはハノーバーメッセで毎年1カ国選ばれるパートナーカントリーになっている。ASEANからは初めての選出となった。もともとは2020年のパートナーカントリーだったがコロナ禍でハノーバーメッセが中止、引き続きパートナーカントリーとなった2021年もコロナ禍でオンライン開催のみとなっていた。今回は、ハノーバー国際見本市場に3000m2を超えるインドネシアナショナルパビリオンが登場し、約150の企業や団体が出展、開催初日にはインドネシア大統領のジョコ・ウィドド氏も訪問している。
パナソニックマニュファクチャリングインドネシア Vice President DirectorのDaniel Suhardiman氏は「インドネシアは2030年までに世界第7位以内、2045年までに世界第5位以内の経済大国へと成長することを目指している。それらを実現するロードマップとなる、2018年に発表された『Making Indonesia 4.0』では、優先セクターの1つにエレクトロニクスが入った。われわれとしても今、さまざまな活動を進めている」と話す。
1970年設立のパナソニックマニュファクチャリングインドネシアでは、約2000人の従業員が冷蔵庫やエアコン、洗濯機、扇風機、換気扇、オーディオ、ウォータポンプの生産に携わっている。その中で、まずエアコンの生産をパイロットプロジェクトとしてDXを進めているという。
Daniel氏は「欧米や日本などで取り組んでいるものをそのまま導入する必要はない。なぜなら、インドネシアはまだ人口ボーナスの国だから」と語る。インドネシアの現在の人口は約2億7000万人。平均年齢は32.3歳と若い人口が多く(日本は47.9歳、いずれも国立社会保障・人口問題研究所より)、2030年台には人口が3億人に達するとの見方もある。少子高齢化による人手不足が課題となる先進国とは実情が異なる。
「われわれの大きなコンセプトは人間とオートメーションの調和であり、人中心のDXを進めようとしている。まずITソリューションの導入を進めて生産性、品質の向上に取り組み、自動化によって肉体的負荷の大きい作業を機械に担わせていく」(Daniel氏)。
同社では創業75周年およびインドネシア独立100周年の節目となる2045年に向けたビジョンを発表したばかりという。「新しい世代を迎える2045年に向けて大きく3つの改革を進める。事業面では新規事業の創出と輸出の拡大を図る。また、構造改革としてDXの推進とカーボンニュートラル工場の実現を目指す。そして、これらを担う人材育成を進める」(Daniel氏)。
インドネシアは石油や天然ガスに加え、銅、ニッケル、スズなどの地下資源に恵まれている。一方で、それら未加工資源の輸出に頼り、精製品の加工産業の発達の遅れにつながった。Daniel氏も「一番の問題は裾野産業の弱さ。特に材料メーカーが少ない」と指摘した上で「だからこそインドネシアには大きなポテンシャルがある」と力を込める。
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