ニュース
CO2吸収する藻類を高効率培養しバイオ燃料を製造、Festoが「モデル工場」を構築:ハノーバーメッセ2023(2/2 ページ)
ドイツのFestoは、世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」において、CO2を吸収する藻類の光合成を高効率、大規模に行い、バイオ燃料などのバイオマスを精製するコンセプト装置「BionicCellFactory」を展示した。
バイオ燃料となる藻類オイルを精製
藻類の抽出モジュールでは、十分に成長した藻類を毎分1万回転の遠心分離器によってバイオマスと水に分離。バイオマスはポンプによって次のモジュールに移動する。なお、同装置では最大90%の水が再循環可能だという。
最後がバイオ燃料などの精製モジュールだ。ここでは、計5つの小さなバイオリアクターがあり、酵素を用いてバイオマスの細胞を分解、デンプン、タンパク質、色素、そしてバイオ燃料になる藻類オイルなどの成分を取り出すことができるという。説明担当者は、「藻類オイルは、食品や化粧品、そしてバイオ燃料などとして利用ができる。つまり、CO2を結合し、石油ベースの製品の代替品となる持続可能な材料を生産できるのだ」と語っていた。また、オイル精製後の残渣も魚のえさや肥料などに利用可能だという。
なお、現時点ではこうした藻類オイルをバイオ燃料としての利用するのは、既存の燃料と比較し高コストなため、説明担当者は、「化粧品分野やヴィ―ガンフード業界での利用の方が理にかなっているだろう」と言及。その上で、「石油ベースの燃料からの脱却には、より効率的で費用対効果の高いプロセスを構築する必要がある。われわれは自動化技術によって、そのプロセス構築に大きく貢献したいと考えている」と強調していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 工場脱炭素化の“埋蔵金”となる「熱交換」
異なる切り口で考えると新たな削減ポイントが見つかるかもしれません。 - 軽く、安価で、柔軟な「世界初」の空気圧式の協働ロボット
ドイツのFestoは、世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2022年5月30〜6月2日)において、「世界初」(同社)とする空気圧式の協働ロボット「Festo Cobot」を公開した。空気圧による動作を実現したことで17kgと軽量かつ、可搬質量3kgの同クラス電動型製品より安価を実現するという。2023年の販売開始を予定している。 - 「ChatGPTに匹敵する」ドイツ新興の生成AI、HPEが製造業への導入例を披露
Hewlett Packard EnterpriseはHANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)において、ドイツのAIスタートアップAleph Alphaの生成AIを用い、自然言語での対話で産業用ロボットの操作をサポートするシステムのデモを行った。 - 「自動化とデジタル化の黄金時代」とシーメンス、半固体電池メーカーとの協業も
「今まさに、自動化とデジタル化の黄金時代が到来している」――。ドイツのSiemens(シーメンス)は世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」(2023年4月17〜21日)で最新の自動化、デジタル化技術を紹介し、現在の社会課題を背景に、産業界での導入が加速していると強調した。 - ベッコフが編み出したロボットモジュール、既製品では困難な自動化領域に対応
ベッコフオートメーションは「ハノーバーメッセ2023」において、ロボットモジュール「ATRO」をはじめとする製品群を展示した。ATROは2024年以降の市場投入を予定している。 - 『産業界のオスカー』受賞は、産業ロボットに「人の触覚与える」補正ユニット
世界最大級の産業見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)」において、Bosch Rexrothによる産業ロボット用の6-DOF計測ユニット搭載エンドエフェクターが、産業用技術の賞「HERMES AWARD 2023」を受賞した。 - 工場排水で育てた藻からバイオ燃料を生産、デンソーが2020年をめどに開発
デンソーは、「第43回東京モーターショー2013」において、微細藻類からディーゼルエンジンに使用できるバイオ燃料を生産する取り組みの最新状況を紹介。2020年までに、バイオ燃料を1ヘクタール当たり年間25トン生産できる技術の開発にめどを付けたい考え。