村田製作所の業績はコロナ禍前に逆戻り、スマホ需要回復鈍く2023年度も減収減益:製造マネジメントニュース
村田製作所が2022年度決算と2023年度の業績予想を発表した。2022年度連結業績は2019年度以来の減収減益となり、2023年度連結業績予想も減収減益を見込んでいる。
村田製作所は2023年4月28日、オンラインで会見を開き、2022年度(2023年3月期)決算と2023年度(2024年3月期)の業績予想を発表した。
2022年度連結業績は、売上高が前年度比6.9%減の1兆6867億9600万円、営業利益が同29.8%減の2978億8700万円、税引き前当期純利益が同27.2%減の3148億9500万円、当期純利益が同19.2%減の2536億9000万円となり、コロナ禍前の2019年度以来の減収減益となった。PCやスマートフォン向けの積層セラミックコンデンサーの減少による減収、在庫圧縮のために実施した工場操業度の低下と固定費の増加により減益となった。
2023年度連結業績予想についても、電動化が進む自動車向けの需要が増加するものの、スマートフォンの需要回復が鈍く、PCについては需要減少がさらに続く見込みであり、減収減益を見込む。売上高は前年度比2.8%減の1兆6400億円、営業利益が同26.1%減の2200億円、税引き前当期純利益が同30.1%減の2200億円、当期純利益が同35.4%減の1640億円となっている。
2022年度業績推移を四半期別でみると、好調だった第1四半期と第2四半期に対して、第3四半期から第4四半期にかけて大幅な減収減益となっている。これらはスマートフォンやPCといった民生機器の需要急減によるものだが「2023年度も本格的な回復は難しい」(村田製作所 代表取締役会長の村田恒夫氏)という。2023年度業績予想の前提となる各市場の見込みは、スマートフォンが2022年度比3%増の11.1億台、PCが同10%減の3.8億台、自動車が同5%増の8600万台となっている。
2022年度後半から工場の操業率を抑えて在庫圧縮に努めているが、2023年度も在庫削減に努める。2023年度通期の生産高は前年度比8%減の1兆6000億円を計画しており、積層セラミックコンデンサー工場の操業率は2023年度上期が80〜85%、同下期が85〜90%になる見通し。
また、2022年度にパワーツール向けで好調だったリチウムイオン二次電池などを展開するエナジー・パワー事業は、2022年度第4四半期から需要減と在庫調整の影響が出ており、2023年度は減収を見込んでいる。村田氏は「2024年度を期末とする『中期方針2024』の中でリチウムイオン二次電池事業の黒字化を果たすのは少し難しくなってきた」と語る。また、鋭意開発を進めてきた全固体電池も課題解決の必要がありまだ出荷できる状況にはないという。
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