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農地の状態を可視化する土壌センサーを量産開始:スマートアグリ
村田製作所は、農地の状態を可視化する土壌センサーの量産を開始した。電気伝導度、水分、温度などのセンサーを内蔵し、1台で肥料や塩分、温度、水分を計測可能で、無駄のない潅水や収穫量の安定化、収量差の原因究明などに活用できる。
村田製作所は2022年5月9日、土壌の肥料や温度、水分をモニタリングして農地の状態を可視化する土壌センサーの量産を開始したと発表した。EC(電気伝導度)センサーや水分センサー、温度センサーを内蔵し、1台で肥料や塩分(イオン)、温度、水分を計測できる。
ECセンサーは9つの電極を備え、土壌の空気や水分など不確定な要素から生じる異常計測値をできる限り除いた、精度の高いEC計測が可能。肥料の計測には同社独自のアルゴリズムを用いており、土壌の肥料のみを計測できる。
同センサーを活用することで、適切な潅水が可能になり、収穫量の安定化や増加が期待できる。また、肥料中の窒素の効果を可視化したり、田畑やハウスごとの収量差の原因調査に役立てることもできる。
EC計測範囲は0〜5dS/m、土壌中の水分計測範囲は0〜60%、温度計測範囲は−20〜+60℃。インタフェースはRS232、UART、SDI-12、RS485、RS485Modbusに対応する。防塵防水性能はIP68相当となっている。
サイズは132.5×27×16.2mmで、消費電力は50mA(SDI-12を用いた場合は15mA)。30分に1回の測定を続けた場合、単3乾電池3本で約半年稼働する。
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