土壌発電や水分発電などの実用化を促進する実験キットを発売:組み込み開発ニュース
エイブリックは、CLEAN-Boost技術実験用の土壌発電キットと水分発電キットをセットにした「バッテリーレス無線センサー実験キット」を発売した。身の回りの微小エネルギーを集めて電力に変換する技術の実用化を促進する。
エイブリックは2019年4月3日、CLEAN-Boost技術実験用の土壌発電キットと水分発電キットをセットにした「バッテリーレス無線センサー実験キット」を発売した。満員電車内にかかる圧力、人間の汗、家電から発生する熱など、さまざまな生活シーンで発生する微小エネルギーを集めて電力に変換する「エナジーハーベスト」の実用化を促進する。価格は2万9800円(税別)だ。
CLEAN-Boostは、身の回りのマイクロワットレベルのエネルギーを集めて蓄電、昇圧することで電池を使用せずにBLEのBeaconが発信できる技術だ。
今回、CLEAN-BoostとBLE無線モジュールを一体化し、軽量小型で防水加工した「CLEAN-Boost無線タグモジュール」を開発した。外形寸法は25×40×10mm。蓄電量約180mJの発電菌土壌センサー用と蓄電量約450mJの水分発電センサー用の2種類を用意した。汎用的なBLEのBeacon信号を間欠的に発信し、発信間隔から発電センサーの情報を読み取ることができるため、水位センサーなどに応用できる。
キットには無線タグモジュール2種のほか、土壌発電用カーボンフェルト、水分発電用センサーなどを同梱。ただし、発電菌、土壌、水は含まれない。
エナジーハーベストの技術発展と市場拡大を支援し、IoT(モノのインターネット)化が加速する社会の中で電源の確保と廃棄時の環境負荷の削減に貢献するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 環境発電向け技術「EnOcean」のLPWA化は何をもたらすのか
環境発電(エネルギーハーベスティング)の分野で知られる技術「EnOcean」だが、新たな規格の策定によってLPWAネットワークとしても利用可能になっている。今後の展開によっては、環境発電によるIoTをより広範囲に適用できるかもしれない。 - “電力3万倍”で環境発電を効率化、電池レスウェアラブルの実現へ
エスアイアイ・セミコンダクタは、「第3回 ウェアラブルEXPO」において、“電力3万倍”をうたう半導体ソリューション「CLEAN-Boost(クリーンブースト)」を展示。環境発電(エネルギーハーベスティング)などによって得られる小さな電力を使って、無線通信モジュールを電池レスで動作させるられることを特徴としている。 - IoT機器を環境発電で動かせるマイコン、ルネサスがSOTB技術で実現
ルネサス エレクトロニクスは、IoT(モノのインターネット)などに用いられる組み込み機器において、電池の使用や交換が不要な環境発電(エナジーハーベスティング)による動作を可能にするマイコン「R7F0E」を開発したと発表した。 - 環境発電で配線不要、積層信号灯のデータを最短30分で可視化するソリューション
アドバンテックは、工場などで使用される積層信号灯のデータを最短30分で可視化する、ソリューションレディパッケージ「ノせるんです」を発表した。高度な知識や配線を必要とせず、センサーを乗せるだけで現場にIoTを構築できる。 - 積和演算処理の消費電力を8分の1に削減したアナログAIアクセラレータチップ
東芝は、組み込み機器向けの超低消費電力アナログAIアクセラレータチップを開発した。ニューラルネットワーク演算の大部分を占める積和演算を、従来比8分の1の消費電力で処理可能になる。