輸入困難も怖くない、国産素材で作れる二次電池とは?:材料技術(2/2 ページ)
日本電気硝子は、主要部材に結晶化ガラスを使用した「オール結晶化ガラス 全固体ナトリウムイオン二次電池」の開発を進めている。なお、電池の主要な部材に結晶化ガラスを用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の開発は世界初だという。
開発経緯とは?
会場では、2個の同電池(500mAh)を並列接続したものと予備電池により、ドローンを飛行させるデモンストレーションも披露した。なお、電池の主要な部材に結晶化ガラスを用いた全固体ナトリウムイオン二次電池の開発は世界初だという。
ブースの担当者は、「PCやスマートフォン、エッジデバイスなどで二次電池として利用されているリチウムイオンバッテリーは、引火性がある有機系電解液が活用されているものが大半で、火災などのリスクがある。国内で採掘できないリチウムやニッケル、コバルトといった希少元素を使用しているため、将来的に地政学的なリスクや需要拡大による価格高騰、原材料不足で安定的に導入できなくなるかもしれない。そこで、安全性に優れ、国内で手に入る素材で製造可能な同電池の開発に着手した」と話す。
続けて、「現在は、同電池の開発を進めるとともに、製品への試験導入や市場の開拓を共同で行ってくれる共創パートナーを募集中だ。共創パートナーは国内企業を対象としている。現状は、開発中で生産設備も整っていないため、リチウムイオンバッテリーと同等の価格帯で、同電池を提供するのが困難だが、量産化を実現した後は、生産コストも下がり、安価になると見込んでいる」と補足した。
ちなみに、ガラスは、成形する際に、リチウムより高温で熱処理する必要があるが、同社では、化石燃料を使用せずに、再生可能エネルギーを用いた電力だけでガラスを加工する技術を保有しているため、CO2の排出量も抑制できるという。
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